ーライブ盛り上がりましたね。リーダーとして手応えはいかがでしたか?
Dr.M 日本のオーディエンスはちゃんと聴いて反応してくれるから嬉しいよ!素っ裸で踊り出す下品な連中なんかいやしない。
ライブの内容はもちろん最高だったさ。奴らはグレイトだ!オレの集めるクルーはいつだって最高なのさ。
ー選曲が意外に昔の、シブめのラインナップでしたね。
Dr.M 俺たちはブラック・カルチャーのパイオニアたちへのリスペクトをいつも持っているんだ。このサングラスの形を見てみな。左右を繋げるこの部品がポイントなんだ。これがリスペクトだ。お前らにはわかんねえだろうがな。
でも、ただ遺産を食いつぶすんだったら音楽をやめちまった方がいい。何か新しい事をやんなきゃな。だから今回、レオ、タクミ、そしてベースのマサの力を借りたのさ。
ー ともすれば変わった組み合わせですよね?トランペットとフルートのコンビは。
Dr.M そんな事言ってるようじゃまだまだ勉強が足りねえな!トランペットとフルートを雇ったんじゃねえ。レオとタクミにお願いしたのさ。オレの言いたい事がわかるか?
レオはミュージック・カレッジ仕込みのビューティフルなノーツを持ちながらストリートの匂いがプンプンする。エフェクトの使い方もヒップだ。俺は奴のそんなハートとセンスが好きなんだ。
タクミは音楽の流れとオレのやりたい事を凄く読み取ってくれて、ソロではイカしたフレーズで持ってってくれた。しかもタフガイだ。こういう奴がバンドに1人いなくちゃいけねえ。
そしてベースのマサ、奴がこんなにアイディア豊富でアグレッシブだとは思わなかったぜ!今までジャズとラテン系の音楽しか一緒にやった事がなかったんだ。アグレッシブなだけじゃなく、オレの頭の中が全部見透かされているかのようなベース・ラインだったよ。
こうやって1回同じステージに立てばもうオレたちはみんなブラザーさ!
ーレッド・ブーツが一番意外な選曲でした。ちょっとドラムがずれたように聴こえるあたり、さすがですね!
Dr.M 凄かっただろ?あれは本当にずれたんだ。もともとリフを間違って覚えてたから譜面通りに勘定できなくて、Aメロはオレだけみんなと1拍ずれてカウントしてるんだ。カウントがずれるだけなら演奏がずれて聴こえるはずないんだが、途中で演奏もずれちまったらなかなか復帰できなかったよ。
ーそれ、ダメじゃないですか。
Dr.M うん、ダメなんだ。
ーレッド・バロンのドラミングからはオリジナルのビリー・コブハム氏へのリスペクトがとても感じられました。
Dr.M なんだそりゃ?「金取ってモノマネをやるな。ビリー・コブハムは世界に1人でいい。」と素直に言えばいいんだよ。ケンカ売ってんのかお前は!…そんな事わかってるさ。いっぺんやってみたかっただけだ。
ー「魂」セッションの再演はないのでしょうか?
Dr.M ああ、生きてりゃまたいつかやるさ。オレだって明日死ぬかもしれねえし、今を全力で生きるしかねえんだ。それがファンクだ。お前らにゃわかりゃしねえがな。
ー本日は大変お忙しいところを貴重な時間を割いてのインタビュー、ありがとうございました。
Dr.M うるさいな、忙しくなんかねえよ。仕事くれよ。まあいいや、ありがとな。シーユーブラザー!
(取材・通訳 橋本学)