2015年4月25日土曜日

橋ワタシ学session「魂」終了後インタビュー

 4月21日、外苑前のクラブ「Z.imagine」で行われたライブが大反響を呼んだ。その名も「魂(soul)」。本誌は、発起人でありドラマーでもある「Dr.M」をライブ後に直撃取材した。



  ーライブ盛り上がりましたね。リーダーとして手応えはいかがでしたか?

 Dr.M  日本のオーディエンスはちゃんと聴いて反応してくれるから嬉しいよ!素っ裸で踊り出す下品な連中なんかいやしない。
 ライブの内容はもちろん最高だったさ。奴らはグレイトだ!オレの集めるクルーはいつだって最高なのさ。

  ー選曲が意外に昔の、シブめのラインナップでしたね。

 Dr.M  俺たちはブラック・カルチャーのパイオニアたちへのリスペクトをいつも持っているんだ。このサングラスの形を見てみな。左右を繋げるこの部品がポイントなんだ。これがリスペクトだ。お前らにはわかんねえだろうがな。
 でも、ただ遺産を食いつぶすんだったら音楽をやめちまった方がいい。何か新しい事をやんなきゃな。だから今回、レオ、タクミ、そしてベースのマサの力を借りたのさ。

  ー ともすれば変わった組み合わせですよね?トランペットとフルートのコンビは。

 Dr.M  そんな事言ってるようじゃまだまだ勉強が足りねえな!トランペットとフルートを雇ったんじゃねえ。レオとタクミにお願いしたのさ。オレの言いたい事がわかるか?

 レオはミュージック・カレッジ仕込みのビューティフルなノーツを持ちながらストリートの匂いがプンプンする。エフェクトの使い方もヒップだ。俺は奴のそんなハートとセンスが好きなんだ。

 タクミは音楽の流れとオレのやりたい事を凄く読み取ってくれて、ソロではイカしたフレーズで持ってってくれた。しかもタフガイだ。こういう奴がバンドに1人いなくちゃいけねえ。

 そしてベースのマサ、奴がこんなにアイディア豊富でアグレッシブだとは思わなかったぜ!今までジャズとラテン系の音楽しか一緒にやった事がなかったんだ。アグレッシブなだけじゃなく、オレの頭の中が全部見透かされているかのようなベース・ラインだったよ。

 こうやって1回同じステージに立てばもうオレたちはみんなブラザーさ!





  ーレッド・ブーツが一番意外な選曲でした。ちょっとドラムがずれたように聴こえるあたり、さすがですね!

 Dr.M  凄かっただろ?あれは本当にずれたんだ。もともとリフを間違って覚えてたから譜面通りに勘定できなくて、Aメロはオレだけみんなと1拍ずれてカウントしてるんだ。カウントがずれるだけなら演奏がずれて聴こえるはずないんだが、途中で演奏もずれちまったらなかなか復帰できなかったよ。

  ーそれ、ダメじゃないですか。

 Dr.M  うん、ダメなんだ。

  ーレッド・バロンのドラミングからはオリジナルのビリー・コブハム氏へのリスペクトがとても感じられました。

 Dr.M  なんだそりゃ?「金取ってモノマネをやるな。ビリー・コブハムは世界に1人でいい。」と素直に言えばいいんだよ。ケンカ売ってんのかお前は!…そんな事わかってるさ。いっぺんやってみたかっただけだ。

  ー「魂」セッションの再演はないのでしょうか?

 Dr.M  ああ、生きてりゃまたいつかやるさ。オレだって明日死ぬかもしれねえし、今を全力で生きるしかねえんだ。それがファンクだ。お前らにゃわかりゃしねえがな。

    ー本日は大変お忙しいところを貴重な時間を割いてのインタビュー、ありがとうございました。

 Dr.M  うるさいな、忙しくなんかねえよ。仕事くれよ。まあいいや、ありがとな。シーユーブラザー!

                                              (取材・通訳 橋本学)



2015年4月23日木曜日

ラブ・イズ・ミラクル・ライブ終了御礼

 4月19日、「ラブ・イズ・ミラクル・ライブ」無事終了しました。日曜日の早い時間から多くの方においでいただきありがとうございました。



 さて、ライブ決行までの諸々がかなり他力本願になってしまいました。

 ・日程調整、連絡を相方に頼んだ
 ・ツアーに出ている間にチラシが出来ていた
 ・前原さんにソロ・パートのコードをつけてもらった
 ・かなさしさんは歌唱指導の時の譜面で既に練習してくれていた
 
 いざ演奏しようとしても、ギターと歌で既にとんでもなくいい感じではないか。お二人が初対面とは思えない程の良いサウンドです。だいたい打楽器が入る前提で書いた曲ではない。しかしこれでは最後まで「橋本学不要論」が否定できない!

 そこでひるんではいけない。これまで数々の「ドラムは音がでかくて場所とるから出演禁止」のお店を、お前は得意の弱音プレイと減点セッティングで出演可能にしたではないか。リズムを立たせる所とエフェクト的に参加する所を絞りに絞った演奏を心がけ、なんなら打楽器の出方から逆算したアレンジも施して、本番に突入しました。

1 Restart
2  気づけば
3 Share my love
4  I know
5 ダイアナのテーマ
6 3月の歌(武満徹・谷川俊太郎)
7 追憶
8 トムが掴み掛る
9  Must go on

 さくら(アンコール)

 ほとんどがオリジナルのはずなのに、そんな気がしない。それほどこれらの曲達はもうミュージカルと一体化したのかもしれません。
 全て前原さんのギターをイメージして書いたために前原さんの演奏がハマるのは当たり前なのですが、「 I know」や「追憶」「トムが掴み掛る」がこれ程までにかなさしさんの歌に合うとは。

 いや、必然だったとも言えます。なぜなら前原さんもかなさしさんも、ジャンル分け隔てなく恐ろしく守備範囲が広い事、ピアニシモが美しい事、クラシックの心得がある事という共通点があるからです。そしてそれを知っているのは私だけ、とニヤニヤしながらアレンジをしたからです。いや、違うな。アレンジは半分くらい前原さんのアイディアだったな。
 恐らくハマるだろうと想定し、実際に良いサウンドが得られ、ブッキングの勝利を確信する瞬間が、橋ワタシsessionの醍醐味と言えます。平たく言うと他力本願です。

 この日一番難しかったのが、どこまでミュージカルの内容と曲の使われた場面を説明するかという事でした。MCとしては多少話しすぎたかもしれませんが、情報があれ以上少ないと一体何を演奏しているのかわかりません。お客様の多くはミュージカルを見ていない方でした。
 ここのところMCの情報量について悩み行き詰まっていたところだったので、そこは恐る恐るやってしまったのは反省点でした。しかしかつてない状況で、何を聴かせ何を見せるかをものすごく考えてのステージ、とても良い経験になりました。

 この日も一段と良い橋ワタシが出来たと思います。これがきっかけで何かに繋がっていけばとても嬉しい事です。

 

 

2015年4月15日水曜日

橋ワタシ学session vol.8「魂(soul)」~アフロな夜について

ラブ・イズ・ミラクル」の2日後、4月21日火曜日夜はこれ↓



 タイトルはソウルですが内容はファンクです。ロックやジャズの曲もやりますが結局ファンクに見えます。その理由については、チラシの中にヒントがあります。グラサンのデザインにはこだわりました。

 Tp葛西玲緒君は、市川市で私が講師を務めるハーティスト・ミュージック主催のライブで知り合いました。ほぼ全曲スタンダードなのに全曲エフェクターを使用していたのを見て、橋ワタシsessionにお誘いしました。
 fl松村拓海君は出会いは演奏の現場ではなく、友人のts森田修史君所有のみょうが畑の収穫祭で対面。フルート奏者ながら彼もエフェクターの使い手だそうで、葛西君の隣に並ぶのは彼だと閃き、収穫後にお誘いしました。
 el-b澤田将弘君はウッドでもエレベでも共演済みでいつかお誘いしたかったベーシストです。音楽ジャンルの幅も広くソロもメロディアス、チョッパーも得意です。猫友達。

 真面目に音楽の話をすると、ファンクの中でもディープ・ファンク、ルーツミュージック、レア・グルーヴ的なリズムとサウンドに焦点を当てます。

 橋本学はジャズ・ドラマーだと思われていますが、実はファンクミュージックにかなり浸かっています。
 高校時代に日清カップヌードルのCMで「ミソッパ!」と叫んでいた黒人のオッサンを見て、オッサンの名前と元ネタの曲を音楽雑誌の譜面から自力で特定し、いきなりJames Brownに触れたのが最初だったかな。


 こんなに好きなのになかなか演奏する機会がなく、一度自分でやってみたかったファンクバンド(学生時代にコピーバンドは何度も自分で企画しましたが)、プロ15年目、積年のファンク愛をこの日に全てゲロッパ!!!

2days特典:4月19日「ラブ・イズ・ミラクル・ライブ」と4月21日「魂」両方いらして下さったお客様に限り、4月21日はチャージ3000円の所を2500円とさせていただきます。



2015年4月4日土曜日

ラブ・イズ・ミラクル・ライブ~オレにも演らせろ!!!


 2月に楽曲提供したミュージカル「ラブ・イズ・ミラクル」の稽古と本番を見ているうちに、どうしても自分で演奏してみたくなったのでライブという形で全曲演奏する事にしました。

 ラブ・イズ・ミラクルの仕事は、かつてない程のハイペースかつ多様な楽曲制作を行う中で、自分の作曲面での未知の扉が多く開かれたターニングポイントとなりました。今回はその過渡期にあった楽曲群をお聴き頂けます。自作の打ち込みですが、曲はこんなのです。



 メンバーは昨年末橋ワタシvol.6で出演のヴォイス・ヴォーカルかなさし庸子さんに再び登板して頂きます。ミュージカルでは役者さん達の歌唱指導をして下さいました。



 ジャズ・ポップス・歌謡曲のみならず、クラッシクや声楽的アプローチ、ヴォイスのインプロ等も圧倒的な説得力をもって表現してしまいます。そして相変わらずブログが面白い。

 ギター前原孝紀さんはミュージカルの舞台で実際に演奏してもらったので当然ライブでもお願いしました。
 前原さんは大学サークル時代の先輩で、自分が10代でジャズを始めたての頃から何度も共演させて頂きつつ、あらゆる音楽の知識を教わりました。そういった関係は今でもあまり変わりなく、ミュージカルでは作曲家と演奏家という関係ながら、和音のアイディアや約束事をたくさん教わりました。今回もお世話になります。でもリンクが貼れないので早くホームページかブログ作って下さい。

 動画はいろいろありますが、やっぱりトリ音さんとのこれが好きだなあ。

 

 そして、かなさし庸子+前原孝紀初共演、つまり、そんなつもりで企画したのではなかったのに結果的に橋ワタシ学sessionとなります。

 もう一つ、この日のライブはお昼どき12:00~という事もあり、ご希望の方にはCORI. VEGAN FOODSTANDさんのヴィーガン弁当(\1000)を販売いたします。


 「スパイシーベジボウル」
もっちりと炊いた玄米に、サラダ・ソイナゲット(大豆の唐揚げ)・きのこのソテー・フムス等をのせ、ノンオイルで作った自家製BBQソースや豆乳のマヨネーズ・スパイシーソースで仕上げています。レモンを全体に絞っていただくのがオススメです。

これ、頂きましたがとても美味しかったです。食材はオール植物性ですが、全く物足りなさが無く、えらくご飯が進むスパイシーさでした。今まで食べた大豆唐揚げの中で最も鳥唐揚げに近い(笑)。

 お弁当のご予約はこちら→sonocanto@icloud.com

 ライブのご予約はこちら→zimagine@radio-zipangu.com 03-3796-6757

です。皆様のお越しをお待ちしております。

 

 

2015年4月3日金曜日

橋ワタシ学session vol.7「漂」終了御礼

             

橋ワタシ学session vol.7「漂」無事終了しました。ご来場下さった皆様、ありがとうございました。

 今回はテルミン・トリ音さんとビブラフォン・服部恵さんとの初顔合わせしたが、実は橋本とトリ音さんも初共演でした。
 そもそも「テルミンとビブラフォンは相性良いに違いない!」というひらめきが企画の着想だったため、橋本不要論が割と当日まで否定できず(笑)ユニークな編成を誇りつつ自分の首を絞める事になりました。自分が打楽器でどう参加しようかここまで試された企画は初めてじゃないかな?

1.Amaging Grace (テルミン無伴奏ソロ)
2.某ゲーム・オンザロック
3.某ゲーム・Stage13 Kids Room(トリ音)
4.帰る処が無い人(橋本)
5.Pipoca(Elmeto Pascoal)
6.The Corner of Labyrinth(服部)
7.Deep Ocean(完全即興)
8.ラブ・イズ・ミラクル・メドレー(橋本)
9.賽は投げられた(橋本)

アンコール・星に願いを

 トリ音さんは有名なゲームミュージックの作曲もされており、そのうちの1つの某ゲームは橋本も昔やり込んだ物であったので、せっかくなので本人に演奏してもらいました。ゲームの「中の人」という事で著作権等へ配慮した結果、某ゲームとさせていただきます。生で聴けた人はラッキーという事で。

 手作りの国産テルミン「e-winds」奏者である事と、ゲームミュージックという「親しみやすいがインパクトのある音楽」を作曲できる作曲家・アレンジャー・プログラマーである事が、トリ音さんの音色と演奏スタイルに確実に生かされ、他のテルミン奏者との違いを際立たせています。出せるボリュームが限られているのでドラムとの共演は恐怖だったそうですが、弱音ドラマー橋本は合格を貰えたのではないかな?こちらは、微弱音だらけの音場における研ぎ澄まされた緊張感を真近で味わえるという、貴重な経験が出来ました。それでいて音に力強さも感じました。共演を終えた今でも、あの生々しく美しい音がとても電子音だとは思えません。

 かたやビブラフォンとジャンベの服部恵さんは、共に伴奏をしている場面が多かったのですが、鍵盤楽器でありながら打楽器アンサンブルをしている感覚を強く感じました。これはリズムを担当する中で、タイムの良いドラマーが隣にいてくれる感じで、物凄い安心感があります。鍵盤奏者でありながら間違いなく打楽器奏者でした。服部恵(打)とクレジットすべきでしたね、ごめんなさい。
 何より、ベースレス・譜面初見・初共演・完全即興・私の間違いだらけの譜面といった無理難題・無茶振りに全く怖じ気づく事なく、驚くべき速さで策を講じて解決していく頼もしさ、これはもう人間力ですね。

 「テルミン・ビブラフォンのユニットを組んだ」からではなく、「トリ音さんと服部恵さんを組んだ」事がブッキングの勝利だったと言えるでしょう。フワフワしながらもお二人の力強さがしっかりと表現できた清々しいライブでした。



 次回予告は次の記事で。4/19昼間と4/21夜です!