昨年は、バンドスコアの譜面作成の仕事に携わりました。
そのバンドはというと、かつてのPE'Zのリズムセクションである「H ZETTRIO」です。
あんまりちゃんと聴いたことなかったんですが、とにかくこの音源を聴いてドラムを聴き分けて譜面に起こすと。
じゃあまあとりあえず1曲聴いてみようか。
…まじか、これやるんですか…。
速い・複雑・音数多い。こんなん譜面にできるんやろか。
まあとにかくやりましたわ、こんなんばっかり7曲。それがこちらです。
ピアノトリオスコア(Piano/Double Bass/Drums)H ZETTRIO 『PIANO CRAZE』(ヤマハミュージックメディア)
中身はお見せできないので、自分用の下書きを。
×がシンバルで上から2段目がスネアで下がバスドラです。
もうとにかく6連符と32分音符の嵐で死ぬかと思いました。全部高速です。やむなく一部、スローダウンアプリ使いましたが。
あと何が大変かって、ロックポップス系ドラムとジャズ系ドラムの一番の違いは「ジャズ系ドラムはパターンで動かない」という事です。譜面を作る時に、一つのパターンを聴き取って、あとはそれを繰り返し、というわけにはいかないのです。
とにかく全部聴いて順番に譜面に起こすのです。
自分の耳と集中力と、同じドラマーとして「ここでは何をやろうとしたのか」という想像力を駆使しました。使用セットをYoutubeと画像検索で判定しながら、ドラムのKOUさんのプレイ傾向と対策を分析しましたねー。
そうこうしているうちに、HZETTRIOの音楽に段々感情移入してきて、なぜこのバンドに多くの人が魅了されるのかわかってきました。
完コピ=トランスクライブなわけですから、実はちょっと自分のドラミングにも影響がありました(笑)。
これは自慢なのですが、完全即興ドラムソロもぜーんぶ無理矢理譜面に仕上げまして(始めての譜面仕事でどこまでやっていいのかわからず)、スコアの中のメンバーへのインタビューでその箇所に触れてあり、対するKOUさんの感想が
どうだまいったか(笑)
いやもう気合いと根性と執念です。それは自分でも凄いと思う。
その後なんと2冊目もお仕事いただき、今度は16曲!!
ピアノトリオスコア(Piano/Double Bass/Drums) H ZETTRIO 『Beautiful Flight』(ヤマハミュージックメディア)
この2冊をやってみて思ったのは、自分は聴き取り→譜面起こしが得意だという事でした。やっていて凄く楽しかったです。他のドラマーの頭の中を覗ける(笑)し。あと、自分でも作業スピードがえらく速いなと思いました。1曲譜面起こし→清書までだいたい1日半でした。
正確さ・精度についても、何度かあると言われていた校正作業が結局1回で済んだので、問題なかったようです。
HZETTRIOファンの方はもちろん、大きめの楽器店ならバンドスコアかピアノ楽譜コーナーにおいてありますので、ご覧になってみて下さい。ドラムの譜面は複雑になればなるほどいい感じの幾何学模様っぽくなるので、叩けなくても眺めているだけで楽しいです。
最後に、この仕事を紹介して下さり、本入力・校正や事務処理やMacのメンテのアドバイスまで下さった大学ジャズ研の先輩でベーシスト・平川理雄さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました!