前の週に台風が来て店の屋根に木が倒れちまってよ。
初日にいきなり延期になりそうで、さすがオレと思ってたんだけど、隣の不動産屋の親父と、普段ココでコーヒー屋やってるあんちゃんでチェンソーとクレーンで片付けてくれたそうだ。手伝えなくてすまんかったな。あっ、13日に仕込みに行った時に麺打ちながらちょっとだけ手伝ったぞ。麺と丸太運びを同時にやるなんざ、さすが大自然、恐れ入谷の鬼子母神てもんよ!
麺打ちは2日前に全部やったのさ。でも予定の粉を2/3麺にしたら24食できたから残りを玉にして冷蔵庫に入れたわけよ。これが後でとんでもない事になっちまった。
具材は油揚げ、ネギ、車麩チャーシュー、しめじ、ゴマと海苔だ。最初キュウリにしようかと思ったけど、スープにネギの白いとこ使ったら青ネギが余っちまって、最後の試食で「あれ?これ合うんじゃねえか?」と思って採用したのさ。
車麩チャーシューは相方に作ってもらった。めっちゃうまい!だけど俺は作り方は知らねえ。次また車麩チャーシュー使う時は、ジャンピング土下座してやってもらうしかねえな。
15日当日は大雨だ。アウトドアが売りのマナマハロで、さすがオレだ。参ったか。スープ(つけ汁の素)20人前を車で運ぶの大変だったぜ。うち出たらいきなりモンテカルロ・ラリーだからな。林道のダートコースなんだよ。
店について準備したらもう開店時間の11時だ、あっという間だな。1時間寝坊したせいってのはココだけのハナシにしてくれよ。
ほんとは屋号があったんだよ。「ジャズメン(麺)」てな。俺はジャズ・ミュージシャンになりたかったのさ。でも楽器何一つできねえ。だからジャズ喫茶のオヤジになりたかったんだけど、資金をパチンコと競馬でスッちまってパーよ。その時求人誌で見た「ラーメン屋のバイト募集」で応募して、そこから麺屋になったわけよ。
だから、ここ小淵沢に店出したら、ジャズメンて屋号出してウェザー・リポートとかアラン・ホールズワースとかガンガンにかけて「ジャズロック麺屋」をやるつもりだったんだけど、そんな余裕ありゃしねえ!!
11時開店からお客さんが来てくれて、早速麺を茹でたんだけど、この麺が茹で上がりまでつきっきりで面倒みないといけねえシロモノだった。誰だこんな麺打った奴は!俺か!俺は麺茹でしかできなかったんだよ。
会計とタレ入れと盛り付けと洗い物と配膳は相方の麻美ちゃんがほとんどやってくれたのさ。左腕骨折から手術からまだ1ヵ月半くらいなのにめっちゃ働いてくれて、ほんとにありがとよ。こりゃあジャンピング土下座100ぺんやっても足りねえな。
営業中も写真撮ってSNSとかにリアルタイムで流そうかと思ってたんだけど、そんな余裕あるわけねえだろバカ!誰だこんな麺打った奴は!俺か!
お客さんはほとんど友達だったりお世話になってる人だったり、直接声かけたり間接的に声かけてもらった人達だったり、ライブ来てくれた人だったり。ありがてえ。ライブって何?それは聞かないでおくんなせえ。
おかげさんで予備に作った分まで21食完売。まだ12時台だったんだけどな。2時間弱で完売だ。さすが俺の麺だ。
2人とも疲れ切ってまかないで食ったつけ麺だ。やっと写真撮れたよ。俺が麺茹でから動けなかったせいでオペはめちゃくちゃだったけど、味は良かったぜ!
で、帰宅したら晩飯だ。
先の「玉のまま冷蔵庫に残したやつ」を製麺しようとしたらビクともしねえ。熟成にも程があるってなもんで、乾燥と冷却が進みすぎたんだな。だから水を足しながら加水率バリカタならぬバリ高で強引に製麺した。スープにいろいろ足してあっためて、晩飯がコレだ。
俺は麺屋だ。何食でも麺が食えるんだ。これだけは誰にも負けねえぜ。
これがよ、間違いなく植物性ヴィーガンラーメンのはずが、なんでか横浜家系ラーメンみたいになったのよ!こっからまたなんか広がるかもしれん。だからラーメン屋はやめられねえ!!
次の麺屋はいつかって?そんなの風まかせだ。製麺から時間が経っても茹でる時に勝手にほぐれてくれる麺が開発できてからだ。あとは相方にジャンピング土下座100万回やって、また手伝ってもらえるまでだな。
ところで、麺屋の時に配ったチラシはこれだ。
山梨北杜で馴染みのジャズメンがライブやるから、みんな絶対来いよな!
ラーメンの記事にあっという間に100いいね!がついて麺予約は半数以上だったのに、ライブのお知らせにあんまり反応がないって泣いてたから、みんなで応援してやってくれよな!10月14日14時から、昼間だぞ!昔なりたくてもなれなかったジャズメン達だ。強いて言えば俺の大好物の静かなジャズロックだ。俺は客1人でも聴きにいくぞ!