2015年8月27日木曜日

頂上会談 Dr.M × 84mo10 「単独登攀Ⅱ」へ向けて

                    
                              Dr.M

Dr.M  よう、あんたが84mo10か。ダイナマイト持ってそうなルックスは胡散臭いがそのサングラスだけはクールだな。ファンク・ミュージックへのリスペクトを感じるぜ!


                    
                                                             84mo10

 84mo10  君は何だ、そんなギア装備だとジマジン峰は無理だぞ。

 Dr.M  ジマジン?オレはスティックしか持って行かなかったぞ。

 84mo10  う、嘘だ!ジマジン峰へ無酸素でピッケルも持たずに挑むとは…その奇妙なヘアスタイルの中にヘッドランプを隠しているに違いない。

 Dr.M  まあいいや、今度ソロ・ライブをやるんだって?

 84mo10  そうだ。私がかつて制覇し、登山SNSヤマレコで数々の「拍手」をもらった栄光の登山記録を、打楽器ソロで振り返るのだ。会場・ジマジン峰は世界中の登山家どころか地元民からも恐れられる人類未踏峰だ。世界三大未踏峰といえば「カイラス山」「キュンガリ」「ジマジン峰」と言われている。どれ程の難所か君にはわからないだろうが。


                                 
                                                      参考資料・カイラス山

 Dr.M  ふーん、大変そうだな。今まで登った山はどこなんだ?

 84mo10 実は一度「単独登攀」打楽器ライブを2年前に一度やっていて、今度はそれ以降の登攀記録から抜粋する。乾徳山・瑞牆山・金峰山・西岳・権現岳・御座山・西天狗・日光白根山・甲武信ヶ岳だ。その他、鋸山トレイルラン・レースと野沢トレイルラン・レース、鋸山と鷹ノ巣山のナイト・ハイクの思い出なども交える。
 機材はドラム・セットの他、ツボ・小物・木琴・ループマシンを総動員してリアルに山を表現するのだ。
 私は打楽器の世界でも常にバリエーションルートを突き進む。準備を怠らず、自然と自分とに向き合い、ただ頂を目指すのだ。

 Dr.M  ニシダケならオレも登ったぜ!ベリーホットでエクストリームスロープにノックダウンしちまったがなんとかサミットにたどり着けたんだ。ゴーダウンする時にルートをミステークしてバックしたんだよな、ハッハッハ!あれはファンキーなマウンテンだったぜ。でも帰りにノーマネーでバスに乗れなくてよ、コブチザワ・ステーションまでウォーキングした方がハードだったぜ。


                    

 84mo10  なんと、地形図もコンパスも持たないで行ったのか。全く山を舐めている!私は地名に山がついているだけであらゆる危険を想定し、常にテントとシュラフまで持っていく。
そういえば国内だが世田谷の「浜田山」は実に充実した山行だった。午後になり天候が急変し、ザイルを頼りに懸垂下降していたら浜田山駅南壁に打ち込んだハーケンが1つ外れたのだ。視界がホワイトアウトしていたのでブリザードがおさまるまで丸2日、駅舎壁面でビバークした。途中、紺色のウェアを着た2人のシェルパと確かに会話したんだ。しかし私はソロ・クライミングだったからシェルパなど始めからいなかった。あれは極限の精神状態が見せた幻覚だと思っている。

 Dr.M  あんたポリスのお世話になるのも時間の問題だぜ。

 84mo10  クライマーの聖地・浜田山駅南壁を完登した事は私の大きな自信になった。あれを切っ掛けに「代官山北壁・世界初厳冬期無酸素単独登頂」「大岡山南西壁・冬季バリエーションルートからの世界初無酸素単独登頂」を次々成し遂げたのだ。


              
            84mo10氏による大岡山南西壁バリエーションルート(2003年) 

 Dr.M  それはヤマレコにはポストしないのか?

 84mo10  登攀は自己表現でも承認行為でもない。山と自分の対話だ。さらには自己との対話だ。あの山行はかけがえのない個人的な記憶として、かつての自分に心の拍手を送ればそれで良いのだ。

 Dr.M  そりゃそうだ。トーキョーで遭難しかかったレコードなんかアップしたら恥ずかしいよな!




2015年8月17日月曜日

8/12橋本学trio X 伝説のアルピニスト

…なんだこの山は?橋本学trio?人類未踏の「ジマジン峰」厳冬期単独登攀前の軽い下見に来ただけなのだが、ベースキャンプを出たばかりだというのにいきなりホワイトアウトじゃないか…

私は、ソロクライミングが専門の孤高のアルピニスト・84mo10(はしもと)だ。登山SNS「ヤマレコ」に私の華麗なる登山録を披露して「拍手」をもらうために登録してあるハンドルネームだ。

                                         
                                                        84mo10氏

  橋本  やあ、ライブに来てくれたんですね!暑い中ありがとうございます。

  84mo10   暑いだと?いきなりの音のブリザードでホワイトアウトして遭難の危機だったよ。リング・ワンダリングに陥ってピッケルをなくしてしまった。

  橋本   さすが孤高のアルピニスト、オールシーズン冬山ですか。ていうか完全に見た目はテロリストですね。

  84mo10   ヘッドランプ・サングラス・フェイスマスク・地図・コンパス、そしてピッケル。どれ一つ欠けても命を失うのだ。

  橋本   ピッケルなくしたんじゃなかったっけ?ところでトリオの演奏は楽しんで頂けましたか?

  84mo10   ブリザードは計算では90分のはずが105分もあり遭難しかけたぞ。しかしこれが山だ。全てが自己責任であり、あらゆる危険を想定して細心の準備をせねばならない。山を舐めていた若い頃、代官山(31m)や久我山(45m)ですら遭難しかけた事がある。

  橋本   あなたに感想を聞いた僕がバカでした。時間はぶっちゃけこちらの計算ミス、1曲多かったかなと。ライブ中に気づいたんですが、敢えてそのままやりました。即興が大部分を占めているので、その時の良い流れはなるべく断ち切らないで行きたいですからね。このMCなし、全曲メドレーのスタイルでは選曲と曲順の構成を数ヶ月かけて考えています。
 今回は我々も、ともするとお客様も消耗したかもしれませんが、お陰様で記憶に残るライブにできました。ちゃんと海のお話になったと思います。

  84mo10   ホワイトアウトしていた中で2人の人影が見えたのだ。疲労と低体温のせいで見える幻覚か、はたまたブロッケンの妖怪かと思ったのだが、とにかくその2人について行ったらベースキャンプに戻れたんだ。おお、君たち!そこにいたか!御礼に記念写真を撮らせてくれ!

             

             
                     参考・ブロッケンの妖怪

  なんと屈強な登山家達なのだろうか。この105分のブリザードの中をザイルもピッケルもなしに生還するとは!

  橋本   いいメンバーでしょ?僕なんてお膳立てするだけで、スティックぶんぶん振り回して仕切っているようで案外何にもしてません(笑)。
        ところで、9月22日にここで単独登攀なんですって?



  84mo10   そうだ。私がかつて登った山々を打楽器で再現するのだ。私も実は打楽器奏者だ。乾徳山・瑞牆山・甲武信ヶ岳・西岳・権現岳・日光白根山・御座山・西天狗・金峰山。山の数だけ、クライマーそれぞれのドラマがある。そしてトレイルラン!

  …おっと、インタビューのジョブはオレがいただくぜ!

(そこに現れたのは!?…つづく)






2015年8月6日木曜日

8月12日(水)橋本学trio live 「The Wild Sea」インタビュー@ザ・サミット・オブ・西岳

 ようお前ら、久しぶりだな。オレだ、Dr.Mだ。カプセルホテルのエグゼクティブのオファーをエスケープしてインタビューに来たぜ。
 どこまで来たかって?聞いて驚くなよ?2398mだ!


 まあオレのアルピニズムからしたらたいしたマウンテンじゃなかったがな。ザイルもピッケルも用なしだったぜ。まあでもトロリーってやつには気をつけた方がいいな…おっといけねえ、なんかに似てると思ったら大泉洋の登山家キャラだった。危なくシンクロナイズドするとこだったぜ。


 橋本 おい、立派なアルピニズムの割には疲れてるっぽいじゃんかよ。

 Dr.M おっ、久しぶりじゃねえか、帰ってきたぜ!

 橋本 帰ってこなくていいよ。


 Dr.M またトリオでライブをやるんだって?

 橋本 やるよ、前回は「Timelapse」だったが今回は「The Wild Sea」つまり海の話だ。

 Dr.M こないだのトリオ・ライブ良かったぜ。まるでムーヴィーを見てるようだった。

 橋本 だろ?前にも言ったけど、そもそも「お金を払ってライブを見、音楽を聴きに来る意味と は?橋本学trioをわざわざ聴きに来る意味とは?」という所から考え始めた。ただ我々が、自分のエゴをさらけだして「オリジナルやるので聴いてください。僕らの音楽を一生懸命演奏するのでお金払って予定合わせて聴きに来てください。」というのは、芸歴15年にもなって恥ずかしい事なんじゃないかと。おこがましく感じてしまった。
 一方で自分が客でライブを聴きに行く時には、演奏を見聴きしながら勝手にイメージがどんどん湧いて、ともすると演奏者の意図からかけ離れた世界に身を浸している事がある。

 そこで思ったのは「ならば橋本trioの音楽を、音を出した瞬間に手放そう。あとはお客さんのイメージに任せよう。橋本trioの音楽を、妄想を喚起させる触媒に使ってもらおう。テーマも、メンバーのアドリブすらも触媒だ。」と考えたんだ。平たく言えばサウンドトラックだと思って聴いていただきたい。サウンドトラックである以上物語のタイトルと筋書きが必要なので橋本学が勝手に作るが公開しない。MCも一切しないで、曲順とチャプター名だけ書いた紙を配る。

 Dr.M 海っつってもいろいろあるわな。オレなんかがイメージする海といやあモンテカルロだ。色とりどりのパラソルと石造りのリゾート、そして世界中のリッチな野郎どもが集まってやがった!あそこは良かったねえ。

 橋本 一番似合わない場所だな、いつ行ったんだ?

 Dr.M おとといだ。小淵沢駅までトレインで遠かったぜ。アタミの「スナック・モナコ」からは。

 橋本 なるほど、そいつは一番お似合いだ。

 Dr.M 新曲もやるそうだな。

 橋本 今、「時化(しけ)」という曲を書いている。お前の作ったチラシと俺のと並べてみようか。気合が違うんだよ。




50枚も託したのに全部無くしやがって!

 Dr.M ベリーソーリー、だから次のライブのチラシも作ってやるから。

 橋本 いらん、なくすな!!

 Dr.M いやあしかしここマウンテンのサミットはいいな。オレたちVIP同士が首脳会議、まさにサミットでサミットだ、わっはっは!

 橋本 お前はバカのサミットだ。