「ヒューマン・ビートボックス」いわゆる「くちドラム」の進化系です。
古くから、アカペラ・グループでは打楽器担当をする役の人を「ボイス・パーカッション」と呼んでいました。ヒューマン・ビートボックス(以下ビートボックス)も着想は同じだと思いますが、どちらかというとルーツはヒップホップ誕生時のストリートから。必須であるターンテーブルが買えないとの事でボイスで全てを表現し始めたのがきっかけだそうです。
ビートボックスはボイスパーカッションと違い、ドラムだけでなくベースやシンセ、コーラスの音まで同時にやってのけます。「ターンテーブルから出るトラックの音」を表現しようとすれば、自然な進化過程だと思います。ちなみにこの人がパイオニアだと言われています。
現代のビートボックスは、ドラムの音というより「マシンでプログラミングされた音」を再現している場合がほとんどです。私もこれを始めた動機の一つに「打ち込みのような自由なサウンドを自分の手でリアルタイムに作り出したいから」というのがありました。もちろんドラムである程度は演奏できますが、例えばスネアの音色を瞬間的に劇的に変えたい場合など、生楽器では不可能な事もあります。生楽器は一発一発不揃いで、一つの楽器からあらゆる音色を微妙に引き出す面白さがあり、もちろんそれだけで成り立つ音楽は世の中あまたありますが、テクノやブレイクビーツ等にハマって生楽器では不可能な広がりや展開を目の当たりにしてしまうと、自分の音楽に当然取り入れたくなります。なにしろ生楽器でどんなに頑張っても不可能なサウンド展開ができるので、やりはじめてから楽しくて仕方がないです。
そんなわけで、打ち込みサウンドの魅力にすっかりとりつかれてはいますが、打ち込みに唯一苦手なものが「スウィングする4ビート」であると感じます。自分がプログラミングに長けていないのでただのリスナーとしての感想ですが、未だかつてマシンで打ち込まれたスウィングのリズムで生のジャズ・ドラムより気持ちのいいビートを味わった事がありません。
もう一つ、ジャズの生ドラムは一定のパターンである事が少なく、その場の音楽によって音量も内容もかなりランダムな演奏になり、その方が自然に聴こえます。打ち込みジャズにありがちなのが「不自然なパターン化」です。
原因を自分なりに探ってみましたが、結論としては「スウィングの4ビート・ジャズはその場でしか作れない、ランダムなものだ」としか言えません。整っていない事が前提だ、とも言えます。
そこでやっと「ジャズでビートボックス」です。口でリアルタイムに音を出す事により「その場で作る整わないもの」が作り出せて、かつ生ドラムでは不可能なサウンドも展開できる。自分は日常的にスウィング・ビートのドラムを演奏しており、どういうリズム・タイム感で音符を並べればスウィングするか、現場に出つつ研究して演奏してきた自負があります。平たく言えば「わりとええ感じのジャズ叩けるねんで!」と自分では思っています。
長い長い前置きでしたが、「現役ジャズ・ドラマーによる本格的ジャズ・ヒューマン・ビートボックス」を以下のライブで披露致します。「世界で初めて」を目指して頑張りたいと思います。
チャージは2000円でございます。