2014年6月24日火曜日

日本縦断…だと!?

  仙台・岩沼に行った日の前日、我々は北海道におり、フェリーに乗るために小樽〜苫小牧に車で向かっておりました。
  運転の半分を担当するために多少わがままを言わせてもらい、「蝦夷富士」の異名をとる美しい単独峰・羊蹄山を見るために道の駅・中山峠に立ち寄りました。

  前回の北海道ツアーでは、頂上部に雲がかかりながらもその見事な威容を拝めましたが、今回北海道は全て生憎の悪天候。中山峠からは羊蹄山が見えないどころか、峠そのものがガスに覆われ10m先も見えない程でした。機種変したばかりのiPhone5sで北海道の山々を撮りまくろうと意気込んでいただけに、落胆もひとしおです。

  道の駅そのものは立派で飽きない施設なのですが、やり場のない「山欲」を持て余していた自分の目の前に、70Lザックを背負いストックを持ってどこかに向かおうとするお兄さんが。これは登山者に違いないと、思わず「どこか登るんですか?」と声をかけました。
返ってきた答えは予想だにしないもの。

「実は、歩いて日本縦断しています。」

「まじで!!??」

  聞けば、6月頭に稚内からスタートして札幌経由でここまで来たとの事。言葉が関西弁やなーと思いつつ、失礼ながらお住まいを聞くと、なんと自分の実家の隣町・西宮だと!
これは続きを見届けなければ!と思い、ブログを教えてもらいました。

  誠に勝手ながら日本縦断させてもらってます。(※本記事投稿6月21日当時のタイトルです)

  教えてもらったアドレスの英単語の綴り方次第で別のブログが出てきてしまいなかなか見つかりませんでしたが、写真と行程から間違いなく彼、新井紳吾君です。6月15日の記事の写真の通り、まさに当地はガスまみれでした。
ちなみに出会ったポイントは以下の場所。日本地図で見ると壮観です。



  当時は6月15日、半月で400km弱、歩いてというのは凄いな…。

  彼のTwitterも少し覗いてみたところ、徒歩や自転車やバイクで日本縦断・日本一周を実行中の人々がリアルタイムで多く存在する事を知り(ほぼ皆さんリアルタイムでブログを更新しつつ、お互いの情報網からオフ会もやっている!)、その中の1人、ゆーじろーさんのブログ「ゆーじろーの自転車で日本一周?+α?の旅」が面白く、過去から遡って読ませてもらっています。この人は、1日に150kmも走破する日がありつつ、出発に挫けて宿に停滞(「沈没」と表現(笑))するドキュメントもそのまま記録・公開していて、人間の強さ・弱さをあっけらかんと見せてくれる所に好感を持ちました。
  また、ネカフェ・友人の家・ライダーハウス以外ではほぼ全て道の駅にテント泊、バーナーとコッフェルでの自炊等も詳細に記しています。なので全国各地の道の駅のかなり細かい情報がここにはあります。

  自分も登山時に車中泊をする時、ツアー中に休憩・買い物をする時に道の駅情報を事前にネットで調べていましたが、こういう旅人さん達のブログが、今まで見た情報の中では最も役立つのではないかと思いました。実際北海道には「事前にこの記事を読んでいればあそこに寄れたのに!」という道の駅がありました。

  新井紳吾君の日本縦断に遭遇した事、その他自転車や徒歩やバイクで日本じゅうを旅している人々を知った事で物凄く勇気をもらいました。

  登山もランニングも、自分の意思で行程・ペースを決めます。撤退するも自由、進むも自由、全て自分で決めて行動します。知らない土地に踏み入る事が多く、日々天候も変わるため、ルーティンはあり得ません。そして何があっても自己責任。
   旅人さん達のブログを読めば読むほど勇気づけられるのは、運動の形態や規模こそ違いますが、上記のような登山やランニングにも通じる点があるからです。何のためって自分のために決まってるじゃないかと。しっかり準備して望む、諦めない、そして進み続けるために諦める勇気も。

  「歩いて何千キロも行けるもんなんだ」とか「途中でやめないで今も続けているんだなあ」とか、山を登りながら長距離を走りながらふとそういう事を思い出すと、それだけで力になりますね。もちろん、歩くのと自転車と、登山とランニングは全く違う運動なので、肉体的には相応のトレーニングを積むのが前提ですが。

  しかし、生で出会うというインパクトには凄いものがあります。新井君、順調に進んで関東方面を通るなら、是非もう一度会いたいです。インパクトを与えてくれたお礼をちゃんとして差し入れもし、中山峠では「頑張って下さい!」としか言えなかったのできちんとエールを送りたいです。

※6月24日追記 リンクを飛んで下さった方はもうご覧になったでしょうが、新井君のブログ、というか旅のテーマがバージョンアップしたようです。
           ゴミ拾い日本縦断 徒歩の旅
 アドレスは同じですが、旅の目的そのものがもっと素晴らしくなりました。これはどこかでお手伝いしたい!!


2014年6月18日水曜日

岩沼市・千年希望の丘 訪問 ②

  海岸から程近い所に、特に説明書きもなくチェーンで囲われている箇所がありました。しかし看板がそれぞれ立っていて一目瞭然でした。





  建設中ではなく、もぎ取られた跡でした。津波が容赦しなかった様子が3年たってもはっきり伝わります。

  さらに海岸とは反対方面へ向かうと、一軒の蕎麦屋さんがありました。そちらでお昼「おろし蕎麦とミニ天丼セット」をいただきました。食べながら店員さん達の会話を耳にしましたが、つい昨日に地震があったらしく「わたしカバン持って逃げたわ、津波くるー言うて(笑)」「大げさなー(笑)」と、地震やら津波やらを笑いながら話していました。ここの蕎麦屋さんは津波以前から営業していて、平屋の屋根の上まで津波にかぶりながらも再建、建物そのまま営業を続けているそうです。被災地の方々は、自分が思っているよりずっとずっと強いです。だからといって何の考慮も必要ない訳ではなく、今でも放射能問題や経済的な問題で苦しんでいる人々はたくさんいます。

  あれから3年たちました。当時、被災地のためにできる事を考えた時、一番手っ取り早くて確実なのは金銭的な支援。しかし自分にはその能力はありませんでした。次に人的支援すなわちボランティア。一度だけ福島の動物愛護センターに被災動物の世話に行きましたが、その後行けていません。

  震災後に自分の内面で変わった事は、ほとんどが相方の受け売りではありますが、自分が死んだ後に残すべきものをイメージしながら生きる事です。生きているだけで自然破壊せざるを得ない現代日本、それも都市部の生活スタイルの中で、せめて破壊の少ない生き方をしていこうと。廃棄物はなるべく少なく、環境に配慮した製品をできるだけ使う。玄米・菜食はほとんど趣味ですが、結果的に環境に優しいライフスタイルでもあります。

  ソロ・パフォーマンスで「ごはん」という企画を過去に複数回やりまして、10月に浜松で、食の専門家の方々とコラボ企画を計画中です。決して啓蒙活動などという偉そうなものではなく、橋本個人としては自分が経験したライフスタイルの楽しさをパフォーマンスを通じてただ共有したい、それだけの事です。その輪を広げて行く事で、後世に向けて破壊されない国土を残せるはずだと考えています。ガソリン車に乗り原発からの電力を使いながらの生活を続けるという矛盾を抱えながらですが。

  しかしそれはとても気の長い個人的な話。自然災害は自然災害です。実のところ今回の岩沼市訪問で、被災地支援についても津波という自然現象に対しても、自分の無力さと人間の無力さを改めて痛感したというのが率直な感想です。目にした現実があまりに大きすぎました。

  蕎麦屋を後にし、駅まで5・7km歩き切り、いざ電車に乗ろうとしたらなんと踏切事故で電車が来ない!隣の名取駅からは電車に乗れるらしく、名取駅まで4km…しめて9・7km。よし、歩こう!
  その決断が出来たのは、前日、北海道滞在中に日本列島徒歩縦断にチャレンジ中の青年に会ったのが大きかったです。その話は次の記事で!

  

岩沼市・千年希望の丘 訪問 ①

  クニ三上トリオのツアー中です。
  今回は北関東ぐるぐる〜東京〜函館〜豊浦〜小樽〜福島〜仙台のコース、小樽〜福島の間に仙台で1日オフがあったので、東日本大震災の津波でほぼ更地になってしまった宮城県岩沼市の沿岸地域に行ってきました。

  実は、この訪問の2日前に相方がここへ植樹ボランティアに来ており、合流はできませんでしたが情報だけは受け取っておりました。何の植樹かというと、海沿いに森の防波堤を作る「千年希望の丘プロジェクト」という計画の一環です。詳細は こちら

  まず仙台空港駅を降りて海岸方面へ。何も無いです。何も無いんですが、古い日本家屋が一軒見えます。近づいてみると、

これは、


という事だそうです。


  玄関天井裏に靴が見えました。

  少し離れた所から見た鈴木さん宅と仙台空港。根こそぎ波に持って行かれたのでしょうか。



  そこから海岸沿いに右手に向かうと、程なく千年希望の丘に着きました。




  調べると、万里の長城付近の植樹やアジアの熱帯雨林の再生を成功させた、植物学者の宮脇昭さんの植樹計画に基づいて植樹されているとの事。この方はなんと私の母校の名誉教授、宮脇さん設計の森が大学構内にあるそうで、知らずに入り込んでいたかもしれません。
  それにしても、植樹開始が6月9日にして、訪問時6月15日には既に数万本の植樹が済んでいた事に驚きました。ボランティアの皆さんの働きに頭が下がります。人間が同じ方向を向いて集結した時のパワーに圧倒されました。

  せっかくなので、JR館腰駅まで歩く事にしました。5・7km。コースタイム1時間強、このぐらいなら行ける!ランニングシューズを履いておりスポーツ用シャツを来ているので、肩掛けカバンですがいざとなったら走ればよい!

長くなるので記事を分けます。