ジャズは、これまでに様々な他文化を取り込み、たくましく発展してきました。これは、ジャズ音楽家がいかに好奇心旺盛だったか、またジャズという音楽がいかに柔軟性のある文化だったかという事を証明する事実ではないでしょうか。
第二回は、外から取り入れた文化の中でも最も強い影響を与えたジャンル「ラテン音楽」とジャズとの関係について述べます。
ジャズはアフロ・アメリカンから生まれたものですが、その時代にはキューバからの移民もいました。
最初にジャズとラテンが出会ったのはマチートというコンガ奏者がきっかけです。彼がマンボのバンドを始めた時、義兄弟のアレンジャー、マリオ・バウサがジャズアレンジの中にマンボの要素をミックスしたのが最初の出会いだと言われています。
その後、有名なビ・バップのトランペッター、ディジー・ガレスピーが積極的にラテンのオリジナル曲を書き演奏、ラテンの要素をジャズ界に大きく広めました。
ダンスも達者なようです。
ガレスピーのバンドのドラマー、アート・ブレイキーも独自のラテン・ドラミングスタイルを作り上げ、後にガレスピーのオリジナル「チュニジアの夜」を自己のグループ「ジャズ・メッセンジャーズ」の演奏で大ヒットさせました。
クラーベ(拍子木)はウエイン・ショーター!
ドラムに関しては、ブレイキーはキューバのパーカッションをかなり忠実にドラムに対応させていますが、後のジャズ・ドラマー達は完全に自分の語法で演奏しており、エルヴィン・ジョーンズあたりになると大分崩れてスウィングしたりしています(ラテン専門のパーカッショニストによれば、ラテンのリズムがスウィングする事はまずないそうです)。
時代は進み、1970年代にはロックやソウル・ミュージックとの融合が進む中、スティーヴ・ガッドは「モザンビーク」というリズムを取り入れました。
また、1980年代末にはデイヴ・ウェックルが「ソンゴ」というリズムを取り入れましたが、これは私もリアルタイムだったので非常にワクワクした覚えがあります。
ガッドやウェックルはフュージョンというカテゴリーに分けられ、ジャズ原理主義者からは「これはジャズではない!」と怒りを買う事もあるそうですが、演奏する立場から言わせていただくと、ガレスピーがラテンを取り入た精神と何ら変わらない点から、彼らの精神はジャズそのものだと思います。
現在、我々がジャズ・ライブをやる時、ラテン・アレンジをかなりの頻度で演奏します。それどころか「ソンゴ」のパターンすら要求される事があります。ラテンのリズムとテイストのお陰で、現代ジャズはより華やかでバリエーションに富んだものになっていると言えます。
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