2018年5月22日火曜日

蔵ノ音ギバナシ vol.1

6月10日、北杜市大泉の古民家宿・町屋亭併設の蔵にて、東京から所縁の深い仲間を招いてのライブを企画しました。






町屋亭の蔵の内装デザイン・雰囲気からイメージしたメンバーを呼ぼうと思ったら、以下のお二人になりました。

行川さをり(vocal)
大学入学と同時に音楽に目覚め、その後、ボーカリストDianne Reevesに影響を受けてブラジル音楽に傾倒し、JazzとBrazil音楽を歌うセッションボーカリストとして都内を中心に活動している。本来の歌唱法にとらわれず、絵を描くような、自由で即興的な声の表現が特徴。Dianneへのリスペクトを持ちながら、独自の「インストゥルメンタルヴォイス」によるオリジナルな空間表現を目指している。
2010年12月に1stアルバム「Se Pudesse entrar na sua vida」をリリース。2枚目のミニアルバム「Fading Time」を2013年3月リリース。2015年12月にはリーダートリオphacoscape(ファコスケイプ:ピアノ伊藤志宏・クラリネット土井徳浩とのトリオ)名義で「[-scpes,]」をリリース。 このほか、TVCMでの歌唱やコンピレーションアルバムへの参加など、幅広く活動している。(NTT docomo /JR東海/富士通/資生堂/シャディー.etcのTVCM歌唱、トリビュートCDアルバム「大滝詠一“A LONG VACATION”from ladies」参加 など)

初共演は10年以上前、ジャズ・スタンダードばかり演奏するライブでした。ただその頃は王道ジャズ、中でもジャズ・ヴォーカルの伴奏が全く得意ではなかったので、「なんか…ほんとすいません」てな感じでした。後で聞いたらさをりちゃんもその日はそんな感じだったようですが(笑)。
数年後、ピアノの伊藤志宏から「最近デュオで一緒にやってる行川さをりってすげーんだけど知ってる?」と聞き、直後に橋本trioのライブに来てくれて久々に再会。
その次の橋本trioライブだったか、織原良次が出演できなくなった日がありまして、ベースの代役を入れる気にならなかったので「さをり=志宏=橋本」でライブを決行しました。ジャズ・ヴォーカリストだと思っていた行川さをりは実は完全即興もディープなブラジルも、何と橋本オリジナルもいけるとわかり、この日のライブは記憶に残るものとなりました。
この「さをり=志宏=橋本」は後にレギュラー化し、志宏曲や矢野顕子の曲、ボサノバや3人で作った曲をやりました。一方でギターの前原さんとも繋がりがあった事から「さをり=前原=織原=橋本」という4人でも、ポルトガル語でのブラジル音楽を中心に長く活動を共にしました。

日本語・ポルトガル語での歌のレパートリーが多く、英語の歌は僕はたまにしか聴いた記憶がない(笑)という珍しい人です。普通のヴォーカリストは歌詞とスキャット(詞が無くてメロディのみ歌う)だけですが、彼女はその間の、言葉が生まれるか生まれないかみたいな場面があり、驚かされます。瞬間瞬間に音を紡いでいく様が圧巻で、引き込まれます。
打楽器にも独特の観点があり、あるライブのセッティング前に「あの…大変申し訳ないんですが…今日バスドラム無しでやってみたいんですがいいですか?」→僕「まじで!?喜んで!」。多分他のドラマーなら大変困るだろうアイディアですが、僕に限り需要と供給が成り立っています。
ある日のセッティングはこんなにしてみましたが、楽しく共演してくれました。
前原孝紀(g)
1970年生まれ。
早稲田大学在学時に、横浜国立大学ジャズ研究会に所属。
2002年 ギブソン・ジャズギター・コンテスト入賞。
ブラジル音楽、ジャズ、ポップスを演奏。最近は主にガットギターでライブ活動中。

はい、大学ジャズ研の先輩です。
高校まで無敵だと思って大学ジャズ研に入ったらめちゃ楽器が上手い先輩・OBが沢山いて、自信とかプライドとかいろんなものがいい意味で粉々になりました。そんな先輩の1人です。
前原さんは夜中によく部室に現れ、2人っきりの時はそれぞれ個人練していたのがいつしか即興セッションになり、言葉少なでシャイな人ですが、自分みたいな大学1年生でもポツポツ会話してくれました。
「橋本はどんなのが好きなの?」
「えーと、〇〇とか××とか…」
「あっそう、なら△△知ってる?CD貸してあげるよ。これいいよー」
この関係が今も何も変わっていなくて(笑)。
ジャズ研時代の前原さんの印象は、とにかくストイックにひたすら基礎練をしていて、あらゆるジャンルに詳しく、演奏会ではスーパープレイをし、現役OB皆から一目置かれていた存在でした。一見怖そうですが後輩の我々にはとても優しく、色んな事を教わりました。
卒業してプロ活動に入って数年して、先の行川さをりちゃんが前原さんと活動していると聞き、しかも以前のセミアコではなくクラシックギター奏法を取り入れ、ガットギターでブラジル音楽を演奏しているという。
ならば一度3人でやってみましょうとなり、前原さんと再会。ストイックな雰囲気はそのまま、ガットギターを弾く前原さんはとても新鮮でした。
そこに織原良次(flb)が加わり2年近く4人で活動、さらには前原(g)織原(flb)橋本(ds,per)という「前原孝紀(g)trio」も何度かやりまして、そちらでは他では聴けない前原さんのオリジナルも披露しました。
そんな中で、最も前原さんに助けられた仕事はミュージカル「ラブ・イズ・ミラクル」でのソロ演奏でした。演出脚本家から橋本学に全曲作曲依頼ただし演奏はアコースティックギター1本で。この時真っ先にイメージしたのは前原さんでして、ご本人も快諾。劇伴は稽古・本番にバンドがつきっきりで大変な中、真摯にイメージ以上の演奏をして下さって、さらには作曲・コード付けのアドバイスも沢山貰えました。
もう出会って20年以上経ちますが、未だに、尊敬すべき良き先輩です。ジャズ・ロック・ブラジル・クラシックのあらゆるリズム・奏法をマスターしている上で、とにかく音を少なく静かに、しかし鋭く展開させます。でもなんか、泣けるのです。

こんなお2人となので、恐らく特定のジャンルに固まらず、裏を返せばどんな曲でもかなりディープな世界になりそうです。「蔵の音ギバナシ」なので、お伽話っぽい選曲をご用意するつもりです。以上が精一杯の言葉での説明です。プロモーションするのが大変難しい音楽です(笑)。
試聴になるかわかりませんが、2人でのライブなら以下の動画があります。曲は谷川俊太郎さん作詞・谷川賢作さん作曲の「さようなら」。賢作さんとは3人ともご縁があり、この曲は矢野顕子さんの歌でも有名です。



会場は30席あまり、席数に限りがありますのでご予約推奨です。以下のメールアドレスまたは携帯番号にて承ります。皆様のお越しをお待ちしています。

6/10(土) 蔵ノ音ギバナシ vol.1

行川さをり(vo)
前原孝紀(g)
橋本学(ds,per)

open 12:00 start 13:00
¥3000(1ドリンク付)
会場:町屋亭 (山梨県北杜市大泉町谷戸2076)
ご予約・お問い合わせ:sonorakka@gmail.com または
090-6475-3999(ハシモトまで)