2023年7月7日金曜日

Trio Zero「Energetic Zero」ライナーノーツ「13 years」

これもタイトルより先に曲ができました。

作曲当時気になる存在だったドラマーがいました。Mike clark。この人はハービー・ハンコックの「Flood(洪水)」などで知られています。

ハイハット・スネア・バスドラムのドラムセットの3点セットのみで実に実にランダムにビートを刻んでいきます。タワー・オブ・パワーのドラム、デヴィッド・ガリバルディがそういう演奏をしていましたがホーンセクションのリフに関連したフレーズで、理にかなっているといえばかなっている。学生時代に相当ハマってよくコピーしていました。

マイク・クラークは名前を知っていましたがハービーとの活動しか知らず、35歳くらいでようやくじっくり聴いてみたら「なんじゃこりゃ!?」という理解のできなさ。

これとかも好きでした。

https://youtu.be/VK5jfngAoQQ

普通、バスドラムが1、3拍目に来てスネアが2、4拍目というのがドラムの王道ですが、こういう3点セットでのランダムなプレイはデヴィッド・ガリバルディやハービー・メイソン以外は聴いた事がなかったのと、マイク・クラークはさらにランダム(不規則)であるのと、あとジャズだかニューオリンズだか、ルーツもよくわからないのと、露出が少ないのと…謎が多すぎてハマりましたね。ハネないジャズドラム…というわけでもないんだよな。ハービーハンコックの「アクチュアル・プルーフ」という曲でプレーヤーには知られているかと思います。

https://youtu.be/m0c38Wtdvz0


1人でよくランダムなドラムを叩いていましたが、普段参加するバンドにこれをやっていい曲などありません。じゃあ自分で作っちゃえ!という事でTrio Zeroに持っていきました。

ドラムが一番最初→ベースライン→メロディという順に曲ができ、後半にはドラムソロ・コーナーも作りました。ドラムソロ明けはBメロというコテコテの展開ですが、全然恥ずかしくない!好きなようにやってこそ、自分の曲であり、自分のバンドです。

タイトルは、作曲した時点でバンド結成から13年目、その成れの果てにできた曲ということで。

CDのテイクは実は異なる2テイクを繋いであります。どこで繋いだかはもう自分でもわからない位自然ですが、これはメンバーによる「曲のストーリーへの理解の深さ」のお陰だと思います。


そろそろ久々にライブやろうかな(2023年7月現在、1年9ヶ月空いています)。

2022年2月5日土曜日

音楽活動休止のお知らせ

 お知らせです。橋本学(ds,per,compose)個人として一旦演奏活動を休止する事にしました。

人前で対価をいただいて演奏するようになり20年以上経ちますが、長年音楽活動=他からの承認欲求となっている事に抵抗を感じていて(パフォーマーはそれがあって当たり前ですが、自分はあまりにも強いので)、一旦切り離して純粋に音楽に向かえるようになりたいからなのと、自分で自分を満足させられるようになりたいからです。
そのためには、人前で披露する事をやめてみて自分でどう感じるか、果たしてそれで自分を満足させられるのか、その期間を設けてみます。「本当に自分は音楽が好きなのか?」という所です。相変わらず世界各国様々なジャンルの音楽は聴いているし、ドラムはもちろん、ピアノも触ってみています。もう披露する場がないのにこれだけ触れているのは、まあ好きなんだろうなあと思います。以上が精神的理由で、あと半分は経済的理由です。ツアーメインの遠距離バンドはずっと活動しておらず、ライブが平均して月2本くらいですからね。活動再開は未定ですが、自分のバンドTrio Zeroもかつてほぼ同じ理由で活動休止した事がありました。その時は「一時解散」という言葉を使いました。その間に「打楽器ソロ」「橋ワタシ学session」の経験を積み、満を持してTrio Zero再開→ツアー→CD制作に至りましたが、活動休止があったおかげだと思っています。どうせ再開するなら精一杯音楽に愛情を持って演奏・作曲に取り組みたい、という思いです。この心境に至ったのもコロナで仕事の激減が2年くらい続いたおかげだと思います。
とりあえず報告のみ、また何か心境に変化があれば何か記します。

2021年10月4日月曜日

Alpine Drumming Workshop vol.3 「ドラムがうるさい、もっと静かに叩いて」と言われて困った時」

ドラム・レクチャー動画、前回
https://youtu.be/3Om1b2_eOgM
からの流れで「ドラムうるさいよ!」と言われた時の対策をまとめました。

「ドラムがうるさい、もっと静かに叩いて」と言われて困った時」
https://youtu.be/6WKATfjAoSw

主に残響と音域の話をしています。ミュートとグリップでだいぶ変わります。
僕は打楽器でありながら、バイオリンや歌のマイクPA無しの状況でも問題なく対応できます。アコースティック、小編成向きだと思います。
ドラム入ったらうるさいんじゃないの?という編成や現場で嬉々として打楽器演奏しています(もちろんドラムセットでも)。
ジャズならピアノトリオとヴォーカルが圧倒的に多いですね。
ひとまずの目標は古楽器クラヴィコードかな。
https://youtu.be/ESvJIa7EBwE
めちゃくちゃ音ちっちゃいっす。
杉本周介さんの素敵な演奏動画、クラヴィコード登場は1:40くらい。

ミュート、正確な打点、正確なリズム、残響をなるべく無くす、共演者が息継ぎする間に叩く、みたいな感じです。
芸歴20数年で身につけた「秘伝のタレ」を公開します。ドラムの皆さんはこれを身につけてどんどん活動の場を増やしていって下さい。共演者も会場も、可能性はめちゃくちゃ広がります。

よろしければ以下に投げ銭をよろしくお願いします!

https://gaku51.base.shop/  (指定金額選択)

https://www.paypal.com/paypalme/gaku5176 (金額任意、アカウント必要)

2021年9月28日火曜日

Alpine Drumming Workshop vol.3「音数の減らし方」

ドラム・レクチャー動画「Alpine Drumming Workshop vol.3公開しました。今回は「音数の減らし方」。
手足を全部使うドラムセットは一度に4つの音が出ます。しかも目立ちます!
ドラマーにとって普通の事でも、他の楽器の人にとって「うるさい」と感じる事は多々あり、「もっと音数を減らして」という注文を受ける事が多いです。
個人的には、音数が少ない=我慢する、ではなく、音数が少ないメリットはドラマーにも多くあると思います。今回は音数を減らしても存在感があり自分もみんなも満足するアイディアのいくつかを紹介します。

https://youtu.be/3Om1b2_eOgM

この動画が役に立ったというドラマーの皆様、ドラマーでない皆様も、よろしければ以下に投げ銭をよろしくお願いします!

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https://www.paypal.com/paypalme/gaku5176 (金額任意、アカウント必要)

2021年9月14日火曜日

Alpine Drumming Workshop 動画編スタート

ドラム・レクチャー動画をアップしました。これは毎週一本ずつアップしていきます。
一本といいながら長編動画のアップがイマイチスムーズにいかないので、vol.1は3部に分かれています。
youtube内にも記しましたが、基本は無料でどなたでもご覧になれるようにしています。もしよろしければ投げ銭を以下からお願いします。

橋本学 Alpine Drumming Workshop & live 投げ銭 
https://thebase.page.link/Txde

2021年8月15日日曜日

Trio Zero「Energetic Zero」ライナーノーツ「追憶」

アルバム「Energetic Zero」セルフ・ライナーノーツ、とりあえず自分の曲から4曲目の「追憶」です。今だから白状する作曲秘話。
2012年頃にミュージカル「ラブ・イズ・ミラクル」の曲を全曲作曲しました。ただしこの時は演奏指定がアコースティックギター1本で、あとは役者さんが歌うステージ。
ギタリストの人選を任されまして、僕の音楽性を極めて理解してくれているジャズ研先輩・前原孝紀さん(20年以上の付き合い)にお願いし、メロディはともかくコード進行についてだいぶ相談に乗っていただきました。
この「ラブ・イズ・ミラクル」の作曲の仕事で非常に新鮮だったのは、普段Trio Zeroで演奏するために作曲していた中では絶対に出てこない要素が色々と出てきた事です。コテコテな、ちょっと恥ずかしいフラメンコのようなエンディングとか。
「追憶」はその時に作った劇中歌でした。前原さんが得意とするブラジルのバイオンのグルーヴで作曲したはずが、コード進行がどうにもキューバなどスペイン語圏なイメージになってしまいました。
で、Trio Zeroに持ってきてみると、伊藤志宏はどちらかと言うとラテン風味、織原良次はブラジリアンに長けている。自分はどちらも同じ位好きなので、自分で作った曲ながらラテン(スペイン語)かブラジル(ポルトガル語)なのか、未だにどっちかわかりません(笑)。そもそも日本語詩のための曲だしね。
いやーでもこの、すごい勢いであっという間に過ぎ去って終わる感じが潔くてやめられません。

作曲してすぐくらいの、だいぶ前の演奏はこちら
https://youtu.be/-tCkFR4ckSo

10月山梨長野ツアーに向けてちょっとマイナーイメチェンしてみようかな、と思っています。

2021年6月12日土曜日

Trio Zero「Energetic Zero」ライナーノーツ 「コメツキムシ」


曲の冒頭のベース・リフが最初に出来ました。
白状すると、作曲当時ハマっていた音楽が矢野顕子さんの「Welcome Back」。あの不思議なスペース感と唐突なキメは作曲にもろに影響しています。当初、曲のメロディは完全に矢野さんの声で浮かんできました。
4ビートとも2ビートともレゲエとも言えないドラムについては、作曲当初は全くイメージが無く、バンド初演奏の日にメンバーに譜面を渡すまでドラムについては何も決めていませんでした。
しかし演奏を始めてみると、何も決めていなかったはずのドラム演奏が自分でびっくりする程自然にイメージが浮かぶという不思議体験をし、これ以降作曲の際には「ドラムをどうしようか」と決めなくなりました。ドラムがどうなるかはみんなで一緒にやってみてから、というスタンスですが、困った事はありません。
作曲当初からアレンジ・構成は変わっていません。ピアノソロからいきなりスウィングのリズムにした位。我がバンドの数少ない4ビート曲ですがコード進行がポップスぽいのであんまりジャズに聴こえないと思います。
タイトル「コメツキムシ」ですが、コメツキムシの特異な動き、wikiより
"天敵に見つかると足をすくめて偽死行動をとる(世に言う「死んだふり」)。その状態で、平らな場所で仰向けにしておくと跳びはね、腹を下にした姿勢に戻ることができる。"
これとイントロのピアノの反復フレーズのイメージが重なった、というだけです。たぶんコメツキムシは実際に見た事はありません。