2015年12月31日木曜日

12/22 おもしろかった

 はしもとまなぶトリオ 「かくれんぼ」しゅうりょうしました。きてくれたみんな どうもありがとうございました。  

 もっきんは きんちょうしたけど うまくできました。

  しこうくんも りょうじくんも じょうずに がっきを ひいていました。

  まちがえて はんそでを きちゃったから さむかったです。

  ぼくが もっきんで だぶるぱらでぃどる を やったら しこうくんが わらっていました。

  おもしろかった。

  また よやく してね。

  …さて、そろそろ辛くなってきたので文体を戻します。 2015年は橋本学trio再開の年でした。橋本学trioを「一時解散」したのが2012年1月13日。 再開したのが今年の2月1日。再開させる意味を体現すべく緊張の中での再スタート、確かな手応えとともにストーリー性の希薄さを反省し、以後3回はストーリーの練り上げに集中してライブに向かっていく方法論を用いました。

 以下が最新の演奏、2015年12月22日。



 おそらくこれが最古の動画、2009年11月27日。



 下の動画の当時から、メンバーの2人は素晴らしく、また共に橋本学の良き理解者だったのですが、いかんせんリーダーの自分の舵取りが、どうも表面的な音に終始していたのでありました。その日のテーマがあるわけもなく、毎回あまり代わり映えしないセットリストだったような。楽しかったし忘れられないライブもいくつもあったのですが、リーダーとして次に進むには一度リセットする必要がありました。いくらファミコン直撃世代といえど、現実でリセットボタンを押す事は勇気が要るものです。

 その後、打楽器ソロライブと橋ワタシ学sessionで、毎回のライブをゼロから立ち上げる経験を積み上げ、リーダーとして表現の幅は広がった手応えがあります。アフロをかぶったり全身冬山装備したりといったアホな事から、「1曲1音!」みたいなストイックな音場、全く逆に弾きまくり叩きまくりのsession、初めて共演する楽器…様々なリーダー稼業をする事で得られたものは「突き抜けた表現を求める嗅覚」です。

 そうして橋本学trioに帰ってきて、ではこの3人でどんな突き抜け方をしようか?と考えました。2月1日の再開ライブの日を終えてその時は「我々の一番の得意分野はイメージのきっかけになる音を作ること、ならばサウンドトラックのようなライブにしよう。それもとびきり美しいやつ!」と決意しました。
 その決意の元に5月22日「Timelapse」8月12日「The Wild Sea」と行いました。このMCなしのスタイル、こだわり抜いた選曲と曲順はメンバーにもお客様にもとても好評で、両日ともに濃密な良いライブができました。演者も聴き手も90分間大変な緊張を強いられる事になりますが、それは承知の上でやらせていただきました。
 ただ、聴く側は目の前の演奏から脱線して、いろんな事に思いを巡らせて下さって構いません。むしろそれが狙いの一つであるので。「出演者公認の、演奏に集中しなくてもいいライブ」です。

 さて12月22日、テーマは「かくれんぼ」にしました。チラシのデザインからイメージ・ストーリーを立ち上げ、新曲「タビビトノキ」を書き下ろし、当日は童心の象徴として木琴メインのドラム・セッティングにし、木琴に始まり木琴に終わるライブにしました。

                      

 イメージを喚起するサウンドの美しさで突き抜けるはずが、企画ストーリー上どちらかというと自分の木琴および打楽器演奏がだいぶアホな方向に突き抜けてしまいました。しかしメンバー2人はそれをゲラゲラ笑いながら楽しんで創造的に受け止めてくれました。
 凄く良い意味で3人とも歳をとり、お互いの違いが増した上で認め合えているな、それだけの余裕と余白とともに演奏できているなと実感した1日でありました。一度解散して距離を置いた事で、より違いがはっきりし、互いに認識できるようになったと思います。

 上に貼った2つの動画のサウンドは、似ているようで全く別物です。一時解散して1年くらいたち、過去の橋本学trioの録音を聴いた時、新しい音楽的アイディアや楽曲が湯水のように湧いてきて「やっぱいいバンドだったな~」と思っていたんですが、再開した後に解散前の音源、例えば下の2009年頃のtrioの音を聴いても、もう何も生まれないし「あー頑張ってたなー」としか感じない。頑張りすぎていて余裕がなく、聴いててちょっとしんどくなってくる。演奏していても「こうならなきゃいけない!」みたいなのが今は全くないですしね。

 結論としては「いっかい かいさんしてよかったです もっと あほな ことを やりたいです」。

 次回橋本学trioは4月14日木曜日外苑前Z.imagine、木琴で泣ける曲を作る事が目標です!


2015年12月8日火曜日

橋ワタシsession「狸」後記



  橋本学・水谷浩章・北田学による初顔合わせセッション「狸」無事終了しました。お越し下さいました皆様には深く感謝申し上げます。

  嬉しい誤算ですが、水谷さんと北田君はこちらの想像よりはるかに早く打ち解けていたようでした。調性や構成面でわざと歪な曲を作っていったんですが、お二人ともノリノリでした。エグいシーンが多いからわざと綺麗な和音のシーンも足したりしていましたが、リハでそれがナンセンスで必要ない事がわかり、全体の半分くらい削除した曲もありました。

  普段から、自分はフリージャズというものを形式化する事に強い抵抗があるため、今回は「フリーをやります」とか「ここをフリーにして下さい」とか一言も頼んでいません。しかし結果的に無調・リズム無しに展開した場面が非常に多く、そのサウンドが壮絶で突き抜けていてとても楽しかったです。二人のあまりの勢いに置いていかれそうになった瞬間もあった程です。
  無調・リズム無しになるのは、未知の音・未知のリズムを求めて突き進んだ成れの果てで、以前から二人にそれぞれ感じていた「音で化かす」という妖術的な力は、未知なる音への探究心がずば抜けて強いという点に由来しているのではないかと気づき、少しだけ秘密が明かされたように感じました。

  北田君は以前一度だけ共演した時や、伊藤志宏との「audace」ライブを観覧した時に「なんて潔い人なんだろう」と思ったのですが、数年振りにステージを共にして、さらにそれが強まっているのを感じました。
  発する音を厳選した上で一切の責任を引き受け、発してしまった音には微塵の執着もない。既存のフレーズは解体されており、ただ今発したい音の連続で即興的に空間を作っていく。その姿勢にとても共感を持ってしまいます。今自分もセッティングの変化からフレーズの解体を図っていたりするので、久しぶりに会ったのにやっぱり同じような事を考えているのだなと嬉しくなりました。

  水谷さんはやはり「ジャズベース」「ウッドベース」にとどまらず、明らかに「コントラバス」でした。
小編成にも関わらず、オーケストラのコントラバス領域にいてくれるので、結果バンドサウンドを実際より大きく見せられます。
  どうしてもジャズの多くの現場ではベースアンプを使用、本来のコントラバスの鳴り以上のボリューム感で安定させる習慣があります。それは多くの場合、ドラムのせいなのですが(笑)。しかし水谷さんは、アンプを入れながらも過剰にボリュームを上げず、ベーシックな鳴らし方が極めて生音に近いサウンドで、ここぞというタイミングで物凄いアクセントを入れる。本来コントラバスという楽器が持つダイナミクスレンジとスピード感はこんなにも凄いのかという事がわかります。それを感じたければドラムが音量バランスを調整すればいいのです。
  そして水谷さんは常にタイムや拍というより呼吸で音楽を進めていて、ここ1〜2年共演させてもらっている中で真横でそれを沢山学ばせてもらったので、大分グルーヴの呼吸が合うようになってきました。良いタイミングでこの日を迎えられたと思います。

  メンバーを見据えたオリジナル製作については、今回は大成功でした。次への課題、学んだ事を挙げるとすれば、メンバーへもお客さんへも何の遠慮も必要なく、やりたい事を突き詰めればいいという事でした。やりたかったのが狸ならば、変に整えたりバランス取ったりせず、とことん狸をやって化かしまくればいいじゃん、とメンバーから教わりました。

  とにかく、バカみたいに楽しかったです。

  さて、間もなく橋本学trioライブです。

          12月22日火曜日 外苑前Z.imagine

           橋本学(打楽器)
           伊藤志宏(piano)
           織原良次(fretless-b)

           19:30〜21:00 ¥3000

  今や全国にファンのいる、脂の乗りまくった2人に、昔ながらのよしみでワガママ言いたい放題をするという贅沢な、橋本学唯一のレギュラーメンバー・バンドです。皆様是非お越し下さいませ!







2015年11月1日日曜日

発売間近その2・田中信正trio「作戦失敗」

  11月11日、以前からツイッターでお知らせしていました田中信正trioのCD「作戦失敗」がついにリリースされます。

  だいたいアルバムタイトルに「作戦失敗」というのは聞いた事がないですが、非常にインパクトがあります。ですが、下手したらタイトルを上回る程の、インパクトのある内容になっています。

  本作はフリー・ジャズではありません。オーソドックスなジャズでもありません。具体的には田中信正オリジナルとカヴァーですが、カヴァーも原形をとどめないオリジナルに近いものです。
  別の言葉で言うと、音楽家・田中信正の独自の世界観を、落合康介と橋本学とで忠実に表現し拡大したもの です。個人的には「狂気とユーモアの間(はざま)」というキャッチコピーを付けたい。

  ジャンルとしてはコンテンポラリー・ジャズなのかも知れませんが、リスナーとしても聴いた事がない音楽です。古今東西ジャズからロック・ポップス・テクノ・民族音楽まであらゆる種類の音楽は聴いてきたつもりなんですが。

  田中信正さんとは、当初デュオでライブをやっていました。



  動画は違いますが、当時から譜面が4枚くらいのスコアになっているオリジナルをやっていました。あまりに独自性が高く、かつ自由にやらせて貰えていたので、この面白さを強調するには打楽器パートも自分でスコアを作るしかないと思い、ライブで曲を把握していくに従って徐々に打楽器パートを脳内で作っていきました。
  ある時「ベースを入れてトリオでやりたい」と言われ、「これをトリオでやったら凄い事になるな」と思いつつ、果たしてこの凄まじい音楽に適任者はいるのかとも思いました。
しかし後日、落合康介はどうかと相談されました。自分としては大好きなベーシストであり(ライブをお願いした「橋ワタシ学session vol.1」↓)



彼のインパクトのある音色とガッツ、イマジネーションがあればきっとトリオとして成立すると思い、諸手を上げて賛成しました。こうして田中信正トリオは結成されました。

  ではまた1曲ずつ、打楽器視点からコメントします。

1.サゾエ
  もともと、国民的キャラそのままの「サザ◯さん」というタイトルでした。曲は全くのオリジナルですが、タイトルがさすがにまずいとの事で「サゾエ」になりました。しかし、アドリブその他に「サ◯エさん」のDNAが散りばめられております。

2.フラワー・アブストラクション VII
  Saxの井上淑彦さんに捧げられた曲。譜面の途中に「いのうえさん」と書かれた箇所がありました。さて、どこでしょう?CDを聴いて探してみて下さい。拍子を数えて演奏すると必ず間違えます。

3.レントより早く
  新宿ピットイン等でいつも行うハンドマイク奏法を、ライブに極めて近い状況で録音させてもらいました。美しい曲。1ミリもビートを刻んでいません。
  
4.フットステップス・オブ・ジャパニーズ・ショート・テイル
  1発OKのユーモラスな曲です。ハーモニーが独特です。

5.作戦失敗
  レコーディング直前の一か八かのアレンジ改変。技術的難易度が高く、レコーディング時もアレンジに翻弄されつつ、綱渡り的に完走を果たしましたが、タイトル曲に相応しい限界点のスリルと緊張感が記録できたドキュメントです。こんなドラムソロは二度と叩けない!

6.セルキーズ・ダンス
  打楽器のキーが曲のキーに一致していて気持ちが良い。アレがレコーディングでこんなに活躍したのは初めてかな?

7.奇走曲
  2分30秒とは思えない急展開。制御不可能かと思われるマシンを、安全装置シートベルト無しで制御し切ったドキュメント。急発進→急停止。

8.ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー
 「オリジナル書いていたらどうしてもアナザーユーになっちゃったんだよね〜」というわけで突然ですがスタンダード・ジャズです。しかし原形はとどめていません。

9.タベルリンゴ
  アナグラムで有名曲タイトルが出てきますが、あくまで「食べる林檎」です。これも拍子を数えたら負け。本当は恐ろしいグリム童話。

10.夏の星座
  打楽器の役どころは「日本の夏」ですねえ。これはアート・ブレイキーでも絶対演奏できないね!

  公式フライヤーにレコ発情報もあります。





  ライブの現場ではさらに進展がありますが、レコーディングではこれらの曲達の1つの完成形が余す所なくお楽しみ頂けます。
  レーベル「ローヴィング・スピリッツ」のオーナー・富谷さんがこの田中信正trioの最大の理解者であり、一番面白がってくれていました。ありがたい事です。兎に角、このとんでもない作品に参加できて、世に出てしまった事が驚きです。あとは皆様、是非聴いてみて下さい!
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2015年10月16日金曜日

vol.11で見えた橋ワタシ学sessionの目指すもの

 橋ワタシ学session vol.11「木」無事終了しました。連休最終日夜という難しい日程にもかかわらず来て下さった皆様には、感謝してもしきれません。

 本記事では、vol.11ライブを振り返りながら、今一度「橋ワタシ学session」というものの狙いを考察してみます。

 リスト
1.Wichita line man
2.Song for joy
3.Dindi
4.It might as well be spring
5.I'm so lonesome I could cry
6.The moon's a Harsh mistress
7.橋本タカスギ duo
8.Warm sonnet(Saki)
9.Iambic 9 poetry
10.トムがつかみかかる(橋本)
11.Overview(Saki)
12.Ballad of a sad young man
 アンコール
Tea for two

 橋ワタシ学sessionは2014年1月26日、「橋本学・柳隼一(p)・落合康介(b)」のピアノトリオから始まりました。コンセプトは「メンバー同士が初対面もしくはほとんど共演歴の無い、かつ1回きりのセッションを企画実行する」というものです。

YouTube再生リスト「橋ワタシ学session」
 
 そのvol.1〜vol.11まで、橋本学人脈をフルに駆使して、延べ25人の音楽家に参加してもらいました。全員が一国一城の主クラスの音楽家だと自信を持って誇れるメンバーで、自分にとっては全てが忘れられないライブになりました。橋本もほぼ予備知識のない新鮮な人にお願いする場合もあれば、旧知の盟友同士をワクワクしながら組み合わせたり、はたまた学生時代から名前を知っている人に遂にお願いしてしまったり、いわば毎回が自分にとっては「夢の共演」です。そのワクワクをお客様とメンバーとで共有できれば、その日のライブは成功です。

 もう一つの目的は、これをきっかけに引き合わせた音楽家同士の繋がりが継続する事.。これがなんと同一メンバーで再演決定したライブが3組もありました。

 2014.1.26 vol.1 柳隼一・落合康介・橋本 → 2014.5.24東中野セロニアスで「柳隼一trio」として再演
    11.5 vol.5 田中信正・安ヵ川大樹・橋本 → 2016.11.26柏Nardisにて「安ヵ川大樹trio」として再演決定
 2015.4.19 番外「ラブ・イズ・ミラクル」 かなさし庸子・前原孝紀・橋本 → 2015.12.6昼外苑前Z.imagineにて「かなさし庸子ライブ」として再演決定

 お願いしたメンバーが今度は自らライブを組んでくれた、ここまで行けると本当に「橋ワタシ」冥利に尽きますね。 

 メンバーやテーマを決めるに当たって何をイメージするかというと、その人の出す音だけでなく、どちらかというと人となりから醸し出される空気感です。もちろんその空気感が音を支配しているのですが。
 知り合い同士ではなくても、空気感が似ている同士で組めば凄く一体感が生まれます。もしくは違う空気感同士で組み合わせてコントラストを狙う場合もあります。
 空気感第一なので、活動ジャンルや音楽的嗜好は、実はそれほど気にせず組んでしまいますが、皆さんその辺にはオープンなので(オープンな人にしかお願いしていないので)今のところは全てうまくいっています。

 さてやっと今回のvol.11「Saki Minamimoto・タカスギケイ」のお話に戻りますと、「空気感重視」の組み方が今回これ以上ないほどうまくいったと感じました。というよりむしろ、今回のライブを終えて、今まで空気感でメンバーを決めてきたんだなという事に気づきました。

 生き方や思想がしっかりとあって、それを歌に詩に乗せて発信してくるだろうSakiさんにマッチするのは誰か、そうなるとジャズにありがちな「難しいフレーズ」やら「テクニック偏重」は邪魔になってくる。しっかり包んでサポートしつつ、さりげなく刺激も提供できる人。海外在住のSakiさんがまとっている外国の空気感に馴染みの良い空気感の持ち主。ああこれはタカスギケイさんだなと。
 山あり谷あり、ハラハラドキドキしながらのライブも刺激的で良いのですが、今回のライブは「ただそこにいてくれる」安心感に包まれつつ、終了後は元気になっているという、まさに大きな「木」の下にいるようなライブができました。

       

 さて、次回vol.12が決まりました。もう2ヶ月切っています。

 橋ワタシ学session vol.12 「狸」

 橋本学(打楽器) 水谷浩章(b) 北田学(cl,b-cl) 


  12月2日水曜日 外苑前Z.imagine 19:30~21:30 \3000


 ついに大学ジャズ研の大先輩・水谷さんと「audace」の北田君を迎えました。実に実にシビアでストイック、それでいて遊び心もある空気感を醸し出します。

ご予約は zimagine@radio-zipangu.com もしくは 03-3796-6757 までよろしくお願い致します。





2015年10月11日日曜日

橋ワタシ学session vol.11「木」feat.Saki Minamimoto タカスギケイ

 さて、まもなく「橋ワタシ学session vol.11」です。  サンフランシスコから一時帰国中のSaki Minamimotoさんとタカスギケイさんとを橋渡します。
            

どんな人達かは参考動画で。Saki さんの現在のバンド、外国ですね。当たり前だ。

      

 新しいアルバムは、五感だけでなく実は十二感あるらしい感覚から作られた音楽との事です。打ち合わせという名の近況報告会では、意識の高すぎる良いお話をたくさん聞けました。

 一方タカスギさんはここ二年くらい、度々ご一緒しています。

            

 ソロギターほんとにかっこいいんですよね。

 お二人はボストンのバークリー音楽院に同時期にいたようなのですが、初対面だそうで。

 音楽的には二人で成り立ちそうな所ですが、ところがどっこい橋本が割り込みます。

         

 入んない方がいいかもしれませんね。

 内容は、Sakiさんのオリジナルとスタンダード、橋本オリジナルもやります。
 テーマは「木」。土に根をおろし、ずっとそこにいてただただ見守り続ける。そういうメンバーでそういう音楽を演奏します。

 ボストン→東京→ニューヨーク→サンフランシスコで活動してきたSakiさんと、ボストン→サンパウロ→東京で活動してきたタカスギさん、そして関西→横浜→関東で活動してきた橋本といった実にインターナショナルなメンバーでお送りします。

2015年10月7日水曜日

発売間近・NHORHM

 この秋に発売される参加CD、2枚とも超お勧めです。
 本記事はその①「NHORHM」、ピアニスト西山瞳さんの「メタル・カヴァー・プロジェクト」です。



 名前の由来はメンバー西山瞳・織原良次(fl-b)・橋本学(ds)のイニシャルを並べてかつ、「New Heritage Of Real Heavy Metal」とのダブル・ミーニングになっています。それがたまたま「NWOBHM = New Wave Of British Heavy Metal」のパロディになってしまい、中高生時代にリズム&ドラムマガジンでよくNWOBHMの文字を見かけていた自分は、命名の知らせを聞いて懐かしくて爆笑してしまいました。

 各曲について、ネタバレにならない程度に、主にドラム演奏について記します。

1. In the Dead of Night イン・ザ・デッド・オブ・ナイト / U.K.
…UKといえばホールズワース・ブラフォード・ボジオ。シュールで頭脳派なイギリスのプログレ名手達へのオマージュを自分なりに演奏に込めました。

2. Walk ウォーク / Pantera

…パンテラほとんど知らないんですが、この曲のキーワードは「バカドラム」。バカ以上の事はできないという設定で臨みました。

3. Man On the Silver Mountain マン・オン・ザ・シルバー・マウンテン(銀嶺の覇者) / Rainbow

…ネタバレ防止と時代背景から「カラムーチョ・ジャズ・ドラミング」と言っときます。半スティックタイプです。ドラムソロではイチかバチかの奇跡の譜割りに成功し、解析採譜再現不可能ですすんません。

4. Skin O’ My Teethスキン・オー・マイ・ティース / Megadeth

…また違う種類の「バカドラムB」です。のっけからぶちかましてくれと言われてその通りやりました。フルショットで高速竹割タムおろし。

5. Fear of the Dark フィア・オブ・ザ・ダーク / Iron Maiden

…メタル・カヴァーなのに○○○を使った俺さすが!

6. Upper Levels アッパー・レヴェルズ / ANGRA 

…まるで文化祭の準備のようにスタジオで練習を重ねた長編難曲。頑張った!!20年目の文化祭。

7. 悪夢の輪舞曲 / BABYMETAL

…こういうアレンジが一番打楽器センスが問われます。ウエンブリーというとLevel 42が出てきてしまうフュージョン野郎です。

8. Demon's Eye デーモンズ・アイ / Deep Purple

…俺がむかし夕焼けだった頃~シャバダシャバダ~。

9. The Halfway to Babylon ザ・ハーフウェイ・トゥ・バビロン / 西山瞳

…もしもし母さん?オレ事故って500万必要なんだよ!

10. Green-Tinted Sixties Mind グリーンティンテッド・シックスティズ・マインド / Mr.BIG

…唯一リアルタイムでコピーバンドやった曲。一緒にやっていたベーシストが電気屋の息子。ライブ当日に店の備品の電動ドリル+割り箸+ピックでドリル奏法やろうとしたらリハで割り箸が折れるという良き思い出。ちなみに、曲の冒頭は笑っていいところなので笑って下さい。

 個人的な方針としては、西山さんのアレンジが練られていてあまりにも秀逸なため、そのアレンジをいかに面白くするかという事しか考えませんでした。1曲の中に色々な要素を盛り込む事はせず、敢えて焦点を絞り、しかるべきキャラを演じる。つまり10通りのアレンジがあるために10人分のキャラを使い分け演じ切りました。

 ではお前は一体何だと言われると、10人前のキャラの性格通りにドラミングを細かくコントロールできるのが強いて言えば自分の真骨頂ですね。擬態する時としない時とがあるカメレオンみたいな。この曲はまあまあ擬態とか。それとジャズならインプロヴァイズしなきゃ!という思いも全くなくて、あくまで楽曲アレンジが全て。曲によってはほぼ即興なし、ドラムスコアが頭の中で完成されてから録音した物もありました。このユニークな試みの中でただただ極端に演じる事がとても楽しかったです。

 もちろん、メタルを全く知らない方にも絶対に楽しめるように作ってあります。何しろこれに参加するまで自分はメタルには疎かった方ですし。同世代メンバーによる時代背景の特定を狙いながら、それぞれの個人的バックボーンが違うため、うまく三層の独自の音楽ができたように感じます。

 織原良次とのコンビは10数年に渡り数々のバンドでステージ・録音を共にしてきましたが、「こんな引き出しもあったのか!」と、ここに来て新たな可能性を感じました。ベース・ドラム内での自由度と柔軟性が大きな特徴ですが、それを西山さんがアレンジと演奏でしっかり受け止めて面白がってくれているトリオです。

 普段自分は、ジャンルの境界などは本来なくて、出生の異なった音楽同士がグラデュエーションで繋がっているだけだとの音楽観に基づいて、その中間色ゾーンでうろうろする活動をしています。今回「ジャズ」と「メタル」という距離感のある出生同士を架け橋するという事で、ジャズファン・メタルファンそれぞれに長い距離の中間色ゾーンの旅を楽しんで下さればと思います。

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                      各界著名人からのコメント

 Amazing approach to Angra’s song
The original song is greatly influenced by latin fusion and it’s cool to listen to it in this Latin jazz format. 
Excellent arrangement.


- KIKO LOUREIRO (ANGRA/MEGADETH) -

 NHORHMを聴いて、ヘビメタってこんなにお洒落になるって驚きました!とても素敵なアレンジばっかりです。メタラーの僕はずうと「ジャズの演奏者はメタルを音楽として認めてくれない」と思ったけど、このケースではメタルにたいしての熱心と尊敬が伝わって来た。そして伴奏のメロディセンスは原曲より面白いと思います!!マジで(笑) 


- マーティ・フリードマン(ギタリスト) -


 ヘヴィメタルのカヴァーらしいけどな、オレはハシモトのこたぁよく知ってんだぜ。なんたってブラザーだからな。メガデスだろうがパンテラだろうが、ヤツは結局ハートはファンクドラマーなのさ。1拍目にハイハットオープンをヒットしてるだろ?
ラストチューンがマイベストだ。サックスが最高にファンキーでクールだ。メイシオ・パーカーもブルーフェイスだぜ!ネクストレコーディングはファンク・カヴァーをやってオレを雇ってくれよな。もうサイドビジネスはウンザリだ!

-Dr.M (ドラマー、インタビュアー、カプセルホテル使用人)-




 マン・オン・ザ・シルバー・マウンテンとは私の事だ。日本語訳が銀嶺となっているが誤訳で、あれは「銀座」だ。君たちには馴染みがないだろうが、山は1座・2座と数えるのだ。銀座…それは猛吹雪の中でピッケルとヘッドランプを無くし、数々の登山家を飲み込んだ「松坂屋南西壁」に3日3晩ビバークしたあげく気がついたら「ツキジケイサツショ・ベースキャンプ」に救助されていたという苦い経験をした。登山SNS「ヤマレコ」に記録をアップしても拍手が2つしか付かなかったのも、また苦い経験だ。しかし、誰かが私の記録に注目して歌にしてくれたのだろう。


-84mo10【はしもと】(登山家)-

2015年9月28日月曜日

ちょっと真面目に振り返る打楽器ソロ「単独登攀2」

 いやもう、いつもいつもながらこのようなマニアック企画をやらせていただき、わざわざ足を運んで下さり、本当にありがとうございます。


 初回「単独登攀」を超える装備を目指し、ピッケルを購入。暑い、いや、寒い!

 リストは「瑞牆山→御座山→日光白根山→西天狗→野沢トレイルフェス→鋸山ナイトハイク→甲武信ヶ岳→権現岳 アンコール、笠取山」。


 4月の「橋ワタシsession"魂"」で偶発的に出来たアフロのDr.Mというキャラを使い、無責任でナンセンスな発言を連発する快感に目覚めた自分は、この単独登攀2に向けて新たにエセ登山家「84mo10(はしもと)」をでっち上げました。
 ウェブ上では「都内での違法迷惑登攀行為を自慢げに語りつつSNSにアップするイイね拍手乞食」というキャラを作っていました。結構気に入っていたのでライブ当日そいつになりきろうとしたのですが、素の橋本学の体験談をMCで語る事との折り合いがつかず、ほとんど素の橋本学がただ偉そうに話していただけになってしまいました。キャラの確立、素の自分との分離が今後の課題です。

 曲中で用意してあったコントまがいの小ネタ、MCで用意していた自虐ネタはまずまずの効果があったと思います。地図とiPhoneとコーラの事です。

 肝心の音楽的な話をすると、今回はほぼ全編に渡ってドラムスコア・パーカッションスコアを書いてその通りに演奏しました。

 最近、「即興演奏とは何のためにあるのか?」という疑問に行き当たる事が多く、自分の書くオリジナル曲からはどんどん即興部分が減る傾向にもありました。即興演奏を見せる事より、ただ楽曲を聴かせる事の方が格段に楽しく、即興部分ですら楽曲を聴かせるために行う方が充実する、とすら感じる程極端に楽曲主義に傾いておりました。
  「アドリブこそ自分の生き様が表現される」みたいなのも何だか自分に酔っているようで、果たして橋本学のそんなもの見たい人いるのかな?みたいな。
  山や食について打楽器ソロライブをやっていますが、ただ楽しい事をシェアしたいだけです。マニアックに掘り下げて音にして、聴いて想像して楽しんでもらえれば、と思っているだけです。それを大部分一か八かの即興演奏に賭けるのを一度辞めて、いっちょ作り込んでみるかと。もっとダイレクトに具体的にできるんじゃないかという試みが、スコアを書く目的でした。

  器楽的には、ドラムセット内で最近新たな試みをしています。普段、ドラムセットに向かう上で心無い「手癖フレーズ」を極力排除する方向でドラムに向かっていますが、7月頃からフレーズを解体するためにハイ・タムとライド・シンバルを入れ替えるという荒業に出た結果、手癖フレーズは全く消え失せ、より意志の伴った音しか出せなくなりました。ドラムの既存のフレーズがほとんど演奏不可能なため、個々の楽器を個別に認識するパーカッション的発想が次々に出てくるようになりました。
   その個別認識をスコアに全面的に書き下ろした結果、演奏したい山の各場面のイメージをほとんどドラムセット内のみで構築する事に成功しました。スコアに書く事で、ドラムセットのみで自信を持って変化を持たせられました。そして一つ一つの山、各場面がとても具体的なイメージで伝えられたと感じました。
 今までの打楽器ソロは、テーマがあったとはいえあくまで音楽ライブとして音楽的にプログラムを組んでいたため、音のバリエーションを気にするがあまりドラム以外の多種の楽器を過剰に使っていた事が改めてわかりました。具体的なイメージの連続から見えるストーリー性よりも音の並びの心地よさを目指していた事に気付きました。

  以上が器楽的な面から見た「スコア書き」の効果です。

 では即興についての認識はどうなったか。

  端的に言うと、自分はやはり即興が得意である事は強みであり、即興をしている時に最も生々しい表現ができているという事実がありました。
   同時にスコアを、あたかも今産まれたかのように生々しく再現する事の難しさを感じました。ここまで即興を排除して初めて、自分が即興演奏で何をやろうとしているのか、パフォーマンスの中でどういう役割があるのか、少しだけ見えました。即興パートはほんの少しだったので。

  結論としては、スコアを書く事で無駄な表現は削れ、より具体的になり、明確になり、しかし生々しさが少し足りない、といった所でした。キャラ作りとループマシン操作に失敗した以外は収穫も多く大成功だったと言えます。

  あと今回は、各曲の進行パートに全てチャプター毎のタイトルを付け、お客様に紙面で配りました。とても親切で何をやっているか特定できる代わりに、想像する楽しみをいくばくか奪ってしまったかと反省。

  次回はがっつりスコアを書きつつ即興部分を増やした打楽器ソロ、しかし、「世にも不親切なライブ」をやってみたいです。なんにも解説しないような。

  これはあんまり受けなくて、むしろ引かれてしまった。↓