前回は「ジャズとラテン」についてでしたが、第三回は「ジャズとブラジル音楽」について述べようと思います。
まず、ラテンとブラジルの違いですが、ラテンのルーツは西アフリカ〜キューバ、ブラジル音楽はもちろんブラジルです。キューバはスペイン語圏、ブラジルはポルトガル語圏という言語の違いがあります。さらには気候、風土、食べ物も違います。ルーツのルーツは同じかもしれませんが、少なくとも違う国としてそれぞれ文化ができている以上、個人的には両者は別物だと捉えたいし、安易に混同させたくありません。
それを踏まえて、ブラジル音楽とジャズの関係を振り返ろうと思います。
ジャズにブラジル音楽が取り入れられるには、「ボサノヴァ」の誕生を待つ必要がありました。
1950年代、ブラジルでは、より洗練されたサンバであるボサノヴァ・ムーヴメントが起こり、その中心にいたのがアントニオ・カルロス・ジョビン(p)とジョアン・ジルベルト(g)でした。
1963年にはアメリカで、サックスのスタン・ゲッツがジョアン・ジルベルトとジョビンを呼んでボサノヴァ・アルバム「ゲッツ・ジルベルト」を製作、大ヒットし、世界中にボサノヴァ・ブームが巻き起こりました。
1970年代にはチック・コリア(p)がブラジル人のアイアート(per)とフローラ・プリム(vo)夫妻を迎えて「リターン・トゥ・フォーエバー」を発表しこれも大ヒット。同時期にウエイン・ショーター(ts)はブラジルからミルトン・ナシメントを迎え「ネイティヴ・ダンサー」を発表、流行のスタイルとしてのボサノヴァのみならず、よりディープなブラジル音楽がジャズ界に浸透していきました。ジョビンも、CTIレーベルよりリーダーアルバム「ウェイヴ」を発表しています。
以降、ボサノヴァ・サンバをはじめとしたブラジル音楽は、ラテン音楽と同様、ジャズの中に当たり前に存在する物として取り込まれ、やはり自分も演奏する機会が多いです。
個人的に、ラテンを演奏する時は熱量を、ブラジルを演奏する時には風をイメージするように違いを表現するようにしています。キューバもブラジルも行った事ありませんが(笑)。
せっかくなので動画を。
ブラジルのミュージシャンとアメリカのジャズ・ミュージシャンの混成バンド「ライヴ・フロム・バイーア」です。コブハムとコリエルという超暑苦しい2人がいるにもかかわらず、ブラジルのミュージシャン達のお陰で風が吹いています。
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